町田市の特養で子ども食堂 子どももお年寄りも笑顔に

松村裕子 (2018年9月24日付 東京新聞朝刊)
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ボランティアと一緒に食事をする子どもたち。同じ部屋ではお年寄りも食事をしている(奥)=町田市で

 特別養護老人ホームを会場にした全国的にも珍しい子ども食堂が、東京都町田市金井の「清風園」で開かれている。子どもが高齢者と交流できる居場所「にこにこ清風食堂」で、入所者や職員にも刺激を与えている。同園は1964年に開設された都内で2番目に古い特養で、吉田美香施設長は「地域に育てられた。子どもも地域で育てたい」と話す。 

「子どもにも目を向けて」の声受けて

 「いただきます」。午後6時、中庭で思いっきり遊んでおなかをすかせた子どもたちが手を合わせた。この日のメニューは中華丼とサラダ、カボチャのスープで、デザートはスイカとナシ。高齢者が同じメニューを食べる部屋で、小学3年生の女児(9つ)は「おいしい。大勢で食べるのは楽しい」と笑顔を見せた。

 「お年寄りだけでなく子どもにも目を向けて」。地域の民生児童委員からの指摘をきっかけに、2016年6月に開設した。毎月第1、3木曜の午後5時から2時間で、食事代は100円。毎回、小学生を中心に20~30人が参加する。

正月や夏休みも休まず 「孤食」の子どもが変わった

 食事だけでなく、遊びや宿題もする。季節ごとに月見やクリスマスなどのイベントもある。貧困や孤食の子どものため、正月も夏休みも休まず、食事には果物を用意する。教員を目指す玉川大生ら毎回、約10人のボランティアが調理や見守りに当たり、職員は食材調達の寄付集めなどで支える。

 孤食に慣れて「いただきます」が言えず食事中に動き回っていた子も、手を合わせ、座って食べられるようになってきた。子どもたちは夏祭りやもちつきなど特養の行事にも参加、高齢者を喜ばせている。吉田施設長は「職員も、福祉の使命として高齢者だけでなく子どもも意識するようになった」と変化を語る。感染症や不審者侵入の懸念、職員の負担増もあるが、「施設を頼る人のため、やめないことがモットー。できる範囲で無理せず続けたい」。

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