乳児を真冬のトイレに放置 初公判で母親「やめようと何度も思った」子育ての苦悩語る

浅野有紀 (2018年11月15日付 東京新聞朝刊)
 埼玉県草加市で1月、生後8カ月の長女を自宅のトイレに長時間放置し凍傷を負わせたなどとして、保護責任者遺棄致傷と傷害の罪に問われた無職上久保明日香被告(25)の初公判が14日、さいたま地裁越谷支部でありました。起訴内容を認めた被告は、子育てに悩み、虐待をエスカレートさせていった経緯を語っています。

一家が暮らしていたアパート。近所の人は乳児がいたことを知らなかったという(2018年8月撮影)

未熟児で成長面に不安 泣きやまず「怖い存在」に

 草加市で生後8カ月の女児が真冬のトイレに長時間放置された虐待事件。14日にさいたま地裁越谷支部で開かれた初公判で、保護責任者遺棄致傷と傷害の罪に問われた母親の上久保明日香被告(25)は、被告人質問で「当時は限界だった。やめようと何度も思ったが、(激しく泣かれる)状況が変わらず、やめられなかった」と子育ての苦悩を口にした。 

 検察側の冒頭陳述などによると、上久保被告は離婚した元夫との間にもうけた長男(2つ)と虐待していた長女の3人暮らし。離婚後も元夫は自宅にいることが多かったが、子育てには深く関わらなかった。

 被告人質問では、当時の状況が明かされた。長女は予定日より2カ月早く未熟児として生まれ、泣き方が激しく、3カ月を過ぎても首が据わらなかった。上久保被告は「成長面に不安があった」「泣きやまず、怖い存在になっていた」と述べた。

「虐待してない時期から疑われ、児相を頼れなかった」

 昨年9月ごろから、平手で頭をたたいたり、つねったりする虐待を始めた。近隣住民から「子どもの声がうるさい」と苦情が入るようになり、さらにエスカレート。「この子がいなければ」とも考えた。泣き声が聞こえないようにするため、トイレに放置するようになったという。

 子育ての悩みを児童相談所に相談しなかった理由については「虐待をしていない時期から虐待を疑われ、頼ろうと思えなかった」と説明した。

 終始か細い声で、時折涙も見せていた上久保被告。杉田薫裁判官から「今後、成長した長女が自分になつかなかったらどうするか」と問われると「自分の子どもなのできちんと向き合う」と前を向いて答えた。

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