〈この人〉生みの親と暮らせない5人の子を育てる大学教授・伊藤龍仁さん 「血のつながりのない新しい家族の形です」
長田真由美 (2021年7月11日付 東京新聞朝刊)
「わが家には今、高校2年から幼稚園児まで5人の女の子がいます。でも全員、私と血縁関係はありません」。事情があって生みの親と暮らせない子どもを迎えて育てる「ファミリーホーム」を妻と営む。里親の定員を5~6人に拡大した児童養育事業で、全国に約420カ所あるうちの1つだ。
もともと児童養護施設の職員だった。虐待などで保護された子どもの多くは施設で過ごすが、「施設は原則として集団生活で、職員が交代しながら養育する。家庭のような感情面での結び付きが難しい」。地元の名古屋市内の施設に約20年勤めた後、2013年に自宅でファミリーホームを開設した。「きょうだいの人数が増えると、人間関係が複雑化して豊かな関係性を築ける」。これまで一時保護も含め約30人の子どもたちと関わった。2014年から愛知東邦大の教授も務める。
「家族」とは何か。多様化の時代、夫婦を中心とした典型的な核家族だけでなく、「血のつながりがない関係性も新しい家族の形」と力を込める。反抗期を迎えた子もいるが、「5人とも、何もかもがかわいい」。