ヤングケアラー支援条例を作りたい 自民党茨城県連が議員提案へ、大学生と意見交換
長崎高大 (2021年11月10日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
家族など身近な人を無償で介護・看護する「ケアラー」や18歳未満の「ヤングケアラー」を支援する条例制定を目指す茨城県議会会派「いばらき自民党」は9日、茨城大と常磐大(いずれも水戸市)の学生との意見交換会を県議会で開いた。条例案は24日開会の定例会に議員提案する。
相談体制の整備や人材育成へ 18日まで意見募集
両大学から各3人の学生と、県議5人が参加した。茨城大の学生は学内で実施したアンケート結果を発表。252件の回答のうち約45%が「ケアラー・ヤングケアラー」の言葉を「知らない」、約4%が「自身がケアラーの経験がある」と答えたという。常磐大の学生は「ケアラー同士が相談し合える場づくり」などを提案した。
自らきょうだいの世話をするケアラーでもある茨城大3年の友部瑠莉那さん(20)は「自分でも自分がケアラーだと認識していなかった。社会の問題として広く知ってもらえるようになるといい」と指摘。党県連政調会長の飯塚秋男県議は「実際に制度を使う人が利用しやすいことが大切だと思った」と話した。
条例案には、相談体制の整備や専門人材の育成・配置などの支援策が盛り込まれている。文面は自民党茨城県連のウェブサイトで公開中で、18日まで意見募集も実施している。
ヤングケアラーとは
「YOUNG(若い)」と「CARER(世話する人)」を組み合わせた英国発祥の言葉。日本ケアラー連盟によると、大人が担うような責任を引き受け、病気や障害などケアが必要な家族の世話や家事をする18歳未満の子どもを指す。幼いきょうだいの世話や日本語が話せない家族の通訳、アルコール問題を抱える家族の対応など負担は多岐にわたり、子ども自身の権利が守られない状態が懸念されている。1980年代に研究が始まった英国では支援に向けた法整備が進み、2015年にはオーストラリアでも、政府が支援やケアに役立つ情報を発信するウェブサイトを開設している。