出欠連絡にアプリ導入で「朝8時の電話番」廃止できた 教員の負担減、休みがちな生徒の支援にも効果あり 埼玉県立大宮高
電話番は2人 コロナ禍で40本も
大宮高校の始業は午前8時25分だが、その前に保護者からの電話が鳴るため、受ける側の教員は同8時には待機する必要があった。生徒は約1000人。インフルエンザの流行期やコロナワクチン接種が始まった昨年秋は、電話は1日30~40本にも上った。
教員は約90人で、1日2人体制の電話番は年2回ほど回ってくる。担当したら週内に休みを取る必要があるが、授業準備に追われてそのままになる教員もいて、「不適切だが、善意で成り立っていた」と校内で情報通信技術を担当する「ICT推進部」の小林建仁教諭は振り返る。
名古屋のIT企業「VISH」が開発
改善策を探っていた昨年初めごろ、長男の通う幼稚園で「れんらくアプリ」という出欠連絡用のアプリを利用していることを知った。名古屋市のIT企業「VISH(ヴィッシュ)」が開発したもので、保護者は表示される欠席ボタンを押し、その次に現れる「風邪」「交通機関の遅延」などの理由を選び送信するだけ。受信側はパソコンの画面で確認、共有できる。
昨春、大宮高校でも導入しようと小林教諭が提案し、「ICT推進部がしっかりやってくれるなら」との条件で学校側も承認。12月には正式に導入した。利用登録する保護者も徐々に増え、今年4月には併用していた電話番を完全に廃止できた。
PTA総会の出欠も紙からアプリへ
アプリはPTAでも活用している。生徒を通じて紙で配布し集計していた総会の出欠も、アプリで送信・集計できて手間が省ける。保護者と教員の双方に便利だとして、アプリ利用にかかる月額費用9900円は、教員も加入するPTA会費を充てることになった。
今ではアプリを通じてコロナによる学級閉鎖などの情報も配信。どのクラスに陽性者が出たかなどが瞬時にわかるようになった。欠席状況も把握できるため、休みがちな生徒の情報を共有し、支援につなげやすくなる効果もあった。
同じアプリは、埼玉県内の高校ではほかに2校、小中学校でも4校が導入している。埼玉県教育委員会によると、こうした民間ツールを利用した朝の業務改善はじわじわと広がっており、担当者は「まだ導入していない学校は検討してみてほしい」と話す。