最先端ロボを使って小学校でプログラミング特別授業 先生役の女性マネージャーが「私は子育てしながら」を語る理由
出田阿生 (2024年1月24日付 東京新聞朝刊)
「ぼくの名前はナオ。(身長)58センチのヒューマノイドロボットだよ!」。真ん丸の目をクルクル動かし、子どものような声でしゃべったり、動き回ったり…。そんな小型二足歩行ロボットを使ったプログラミングの授業が12日、川口市立前川小学校で開かれた。先端技術を駆使した仕組みに、子どもたちは興味津々で食い入るような視線を送った。
手つないだり転んだり「すごくリアル」
これは小中学校でのコンピューターやキャリア教育に役立てようと、三菱総研DCS(東京都品川区)が実施する特別出張授業。希望に応じて、2021年から全国の小中学校で開催する。この日は前川小の4年生3クラスと特別支援学級の4~6年生が参加した。
先生役は三菱総研DCSでロボット事業のプロジェクトマネージャーをしている西岡裕子さん(46)と、プログラミングの開発リーダー福田孝輔さん(39)。教室では、ロボットを動かすためのプログラムの画面をモニターで映し、動きや言葉に反映される様子を順番に確認していった。
福田さんが即興で作成したプログラムを動かすと、ロボットが「生麦、生米、生卵」と早口言葉を唱え、ゾウの鳴き声や動作をまねた。授業の最後には子どもがロボットと手をつないで歩く体験も。転んだロボットがユーモラスな動作でひょっこり起き上がると、教室中から拍手が起きた。
授業を終えた田中愛唯花(あいか)さん(10)は「ファミリーレストランで注文を取るロボットを見たことがあった。手をつないだり転んだり、しぐさが面白かった」と笑顔を見せた。川野龍太郎さん(10)は「ジェスチャーがすごくリアルでびっくりした」と話した。
理系の大学や職業は男性に偏るけれど
授業の冒頭で「私は四国の高松市生まれで、3人の子どもがいます」と自己紹介した西岡さんは、「個人的なことを話す理由は、地方出身でも子育てしながらでも、自分がこの仕事をしていることを知ってほしいから」と語った。
特に地方の中学校では「将来そういう仕事に就くために、何を勉強したらいいですか」と質問を受けるという。理系の大学や職業が今も男性に偏る傾向が指摘される中、西岡さんは「今は性別に関係なく子どもが興味を持ってくれてうれしい」と話していた。