思春期の性の悩み、きわどくても正面から答えます 助産師・桜井裕子さん 漫画で伝える「10代のための性の世界の歩き方」
自身も21歳のころ、思いがけない妊娠
日ごろ開業助産師として働く傍ら、小中高校や大学、保護者向けの講演を年間100回以上こなす。ブログ「性教育とぽんずともろみ」では、メールや電話番号を公開して思春期の子どもたちからの相談に応じ、本人の許可を得て内容を公開している。これらの取り組みを特集した記事が編集者の目に留まったことから出版が実現した。
桜井さん自身は看護学生だった21歳のころ、思いがけない妊娠という“失敗”をした。無事に出産し、資格取得と育児を両立できた経験から「正しい知識はあっても失敗するのが人間。だから転ばぬ先に性教育、転んだ後にも性教育」と実感がこもる。
2000件以上に及ぶブログの内容は生々しいものが多いが、これが現実。学校で学べるのは「性交」を除いた受精や妊娠などの“正しい知識”。それだけでは「性とは切り離せない生活を送る10代の実態に追いつけない」と桜井さん。書籍では、多く寄せられるきわどい悩みと桜井さんのアドバイスをイゴカオリさんの漫画でやわらかくも率直に伝える。
本を活用して「性に関してオープンに」
たとえば、小学生の時は男の子が好きだったはずなのに、気づけば同性を目で追い、ドキドキする女子中学生。「好きな人のタイプが変わることがあっても自然だよ」とアニメキャラの桜井さんが声を掛ける。
また別のエピソードでは、彼女を親がいない自宅に誘い、「性行為を受け入れてくれた」と思っていた男子高校生が、「いや!」と拒否される。後日、男友達に「もうひと押しを待ってたかもよ? 俺だったら断られたら立ち直れない」と言われるも「ムリヤリは犯罪。拒否られたのはセックスで俺自身じゃない」と結んでいる。
桜井さんは「こうした性の体験を誰かと話すことで、自分がいざというときどうするか、心の持ちようが学べる。性に関してオープンに話せる関係性を友人や親子間で築くためにも、この本を活用してほしい」と話している。時事通信出版局・1650円(税込み)。