仁木博文衆院議員 母子手帳の電子化で周産期をサポートしたい〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉

自民党の仁木博文衆院議員=東京・永田町の衆院第2議員会館で(いずれも坂本亜由理撮影)

産婦人科医として妻の出産も担当

 衆院議員の仁木博文です。前回のコラムを担当された参院議員の横沢高徳さんからバトンを受け取りました。

 横沢さんからはこんな質問を頂いています。「仁木さんは産婦人科医でいらっしゃるということでご自身のお子さんのご出産時のエピソードや、妊婦健診などへのお考えをお聞きしてみたいです」

 ご案内の通り、私は産婦人科医として、周産期医療の現場で、たくさんの妊婦さんや赤ちゃんと接してきました。約17年前に初妊婦となった妻の出産も主治医として担当し、長女が安産で生まれました。その長女の母子健康手帳を、ある時ゆっくり見る機会がありました。

 手帳には、妻が初めての妊娠を体験し、自分の体の変化や胎動を感じながら過ごした日々のことや率直な気持ちが、日記として書き込まれていました。その記録を見て、夫として、父親として、もちろん産婦人科医としても大変感動しましたし、同時に母子健康手帳の重要性とありがたさを改めて実感しました。

母子健康手帳について話す仁木博文衆院議員

 母子健康手帳は日本だけでなく、アジアやアフリカ等50カ国以上で使われていますが、実は日本発祥のものだということを皆さんご存じでしたでしょうか。もともと世界では、母と子それぞれの独立した健康カードが存在していましたが、母子を一本化した母子健康手帳は日本独自のものでした。実用性と利便性の高さが評価を得て、世界に広がっていったのです。

 妻は妊娠時、母子健康手帳を使うことで、状況をより深く理解し、母親になっていく妊娠期間を安心して順調に過ごすことができたと言います。手帳は、自身の体重や尿検査、血液検査の結果、感染症の有無、子宮の状態、おなかの胎児の発育状況などが確認できるようになっていますが、妻はそれに加え、注意すべきことなど、主治医である私からの説明やアドバイスも丁寧に書きこみ、理解を深めていました。

親も医療者も恩恵が受けられるように

 欠かせない存在となっている母子健康手帳ですが、その電子化が今、議論にのぼっています。政府は、医療の現場でデジタル技術を活用することで、医療の効率や質を向上させることを目的とする「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」の促進に取り組んでいますが、その一環でもあります。

 母子健康手帳は先ほど紹介したように、新生児、小児の健全な発育をサポートする大切なもので、体重や身長のキャッチアップ、定期予防接種に関してもしっかりと利活用できるツールです。これを電子化すれば、周産期における胎児の発育を超音波検査とも連動させることが可能になり、小児科診療においても電子カルテと連携が可能になります。さまざまなデータにアクセスすることができるので、治療が必要になった際には、医療従事者がより適切な判断と迅速な対応をとることができます。

 親にとっても、赤ちゃんが生まれる前の妊婦健診から、生まれた後の多岐にわたる予防接種のスケジュール管理まで使い勝手がよくなり、受けられる恩恵は大きいものになると思います。

パネルを示し、ワクチン接種のデジタル化について話す仁木博文衆院議員

 母子健康手帳の電子化は一例ではありますが、若い世代が、新しい命や家族の誕生と成長を素晴らしいものとして感じながら、健やかな未来に向かって歩んでいける社会を構築するため、できることからしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 最後に、次のコラムを担当される立憲民主党の宮口治子議員への質問です。宮口さんはキャスターなどを経て、双子を含めた3人の子育てをされてきたとお聞きしました。大変なご苦労もあったかと思いますが、どんなふうに子育てに臨まれてきたのでしょうか。

仁木博文(にき・ひろぶみ)

 徳島1区、自民党。1966年5月、徳島県阿南市生まれ。東京大学教養学部卒、徳島大学医学部卒、医学博士。産婦人科医として1200人の赤ちゃんを取り上げる。不妊症、内分泌疾患、婦人科腫瘍の治療も勤務医として担当。2003年衆議院議員選挙に初出馬。2009年8月の第45回衆院選で初当選(比例四国ブロック、民主党公認)。2012、2014、2017年の衆院選での落選を経て、2021年10月第49回衆院選で2度目の当選(徳島1区、無所属)。2023年に自民党入り。産婦人科医や現在も続ける訪問診療での経験を踏まえ、医療DXの普及などに取り組む。自民党厚生労働部会副部会長を務める。

(担当:政治部・坂田奈央)