〈坂本美雨さんの子育て日記〉42・私は彼女のことが人として大好きになった
保育園で「すさまじくお世話してくれて」
この連載をはじめた時生後9カ月だった娘が5歳になった。ここに成長を記録しながら年を5回重ねたけれども、いつもその頃にはセンチメンタルな文章になっている気がするので、今年は気をつけようと思う。
〈前回〉思わず声を荒げた日 怒りの底に見つけた、自分のズルさ
5歳は、こんなにもお姉さんなのか!と日々びっくりさせられる。最近保育園の面談では、1つ下の子のお世話役を自ら進んでやっている様子を先生が「すさまじくお世話してくれてます」と言い表していた。すさまじく…(笑)! おトイレに連れて行く、お着替えを手伝う、ごはんをアーンしてあげる、昼寝の時間には自分が眠る前にその子をトントンしてあげる…などなど世話焼きが過ぎる様子が伝わってくる。
褒めると”照れ”が見え隠れ…いとおしい
そのわりに優しいね、と褒めると「今日もお世話しなくちゃなんないよ、まったく!」と、ため息をつく。その見え隠れする照れがたまらなくいとおしい。そこがあなたのものすごくいいところだよ、と思う。
面倒見が良い、というのもそうだが、きっとお姉さんである自分を、周りにも自分にも証明したいのだろう。だからとても役に立ってくれようとする。先日、買い物から帰ってサッとシャワーを浴びている時に、そうだアイスを買ったんだった!と思いだした。バスルームから娘を呼んで「スーパーの袋の中のアイス、冷凍庫入れといて!」と頼むと、アイスだけでなく冷凍ブルーベリーまでしっかり冷凍庫にしまわれていた。
思わず「5歳児!便利ー!」と感動してしまった。ちょっと前まで赤ちゃんだったのに! そして来年にはもう「えーー、めんどくさい」という顔をするようになるのだろう。絶妙な年、5歳さん!
どんな人なのか、もっともっと知りたい
他にも彼女にはいいところ、マイナスに見えても面白いところがたくさんある。歌やギャグの「間」が上手で、言葉が巧みで、よく人の気持ちに気がつき、ハスキーボイスで、手先がとても器用で、片付けの才能が皆無で(母親譲り)、超絶ツンデレで、言い方や態度は乱暴だが、心根は優しい。あと、ラーメンとギョーザが好き。私は彼女のことが人として大好きになった。そしてどんな人なのか、もっともっと知っていきたい。
先日、子育てが終わって近年仕事に復帰されている先輩とお話しする機会があった。彼女は「私は本当にじっくり子育てを堪能させてもらった。充実した、楽しい時間だった」とおっしゃった。私もいつか振り返って、そう言いたい。(ミュージシャン)
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