〈中倉彰子さんの子育て日記〉61・将棋熱マキ返せる?

(2018年1月26日付 東京新聞朝刊)

「新聞書きたい」

 先日、次女のマキ(9つ)が「私も新聞書きたい」と言い出しました。何かと思ったら、この「子育て日記」を書きたいとのこと。書かれてばかりなので、書く側に回ってみたいのでしょうか(笑)。

 試しに書かせてみると…。

 「今日はマキちゃん(3年生)が『しょうぎ』をやりました。五歳の時には、よくやっていたけれど、弟に負けてやめてしまいました。『しょうぎ』をやってくれてうれしい!とおもったら、すぐにわからなくなってしまいました。でもマキちゃん『しょうぎ』をやっていました」

 私になりきって書いてくれたようですが、まだ修行が足りないかな? そのうち、お願いしたいものです。

トワイス戦法

 さて、この日記にもあったように、マキにもう一度将棋をきちんと教えてみました。

 以前、長男のシン(7つ)に負け、お姉ちゃんとしてのプライドが傷ついたようですが、もうシンとの実力の差ははっきりしています。プライドを気にせず、自分のペースでできるかも、とも思いました。

 お風呂上がりに早速、1局。以前覚えたルールと小学3年生の理解力で、思った以上に対局ができています。

 そこで一つの戦法を教えました。将棋用語で「棒銀」という攻撃の戦法です。マキの好きな歌手グループ「TWICE」になぞらえて説明し、「トワイス戦法」と名付けて教えてみました。

 何回か試して身につけてくると、相手に試したくなったのか、「明日シンが行く将棋が指せるところに行ってみたい」と言いました。

 翌日の教室に2人で参加。マキは最初に2連勝。はにかみながらうれしそうです。ただ、女の子に勝った時、「お友達になれそうだったのに、勝って悪かったかな」と気にしていました。女の子はこんなところを気にするんだなあ。シンだったら「勝った!」と単純に喜ぶところです。

 今はマキの将棋の良いところをたくさん見つけ、本人に伝えてあげたいと思っています。普段は「宿題やったの?」「学校の準備は?」と怒ることが多いので、将棋はニコニコ笑顔で教えよう、と自分に言い聞かせています。

 最近は将棋が好きな女の子も増えてきていますが、まだまだ男の子が多いのが現状。マキを通して「女の子のための将棋の教え方」を模索し、一緒に楽しみたいと思っています。(プロ棋士)