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〈坂本美雨さんの子育て日記〉24・娘の人生・私の人生

  (2018年9月21日付 東京新聞朝刊)
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9月いっぱいで閉まってしまう東京・中目黒の『青家』で大好きな唐揚げを抱えてにんまり(左)

初めて焼いたクッキーを食べた記念日 

 今日は「娘が初めて焼いたクッキーを食べた記念日」となった。先日ライブで家を3泊留守にした間、雨降りで外で遊べなかった日に、お友達のおうちでクッキーとパンを焼いたそう。その残りのクッキーを見つけ「ママ食べていい?」と聞くと、うれしそうに「いーよ!」と鼻を膨らませる。口の中でほろほろっとほどけてとてもおいしい。そう伝えると誇らしげに照れ笑い。あぁ離れているほんの数日の間にも、こんなにお姉さんになって。

 さくらももこさんの「ちびまる子ちゃん」の中に好きな一コマがある。お母さんが赤ちゃんにミルクをあげている場面。「おかあさんになるってどういうかんじ? 子供のために人生ささげるってかんじ?」と問われ、「冗談じゃないよ、わたしの人生はわたしのものだよ。この子の人生とは別モノだからね。でも仲よくしていきたいね」とお母さんは答える。私が参加する児童虐待防止に取り組むチーム「こどものいのちはこどものもの」も、子どもの人生は親のものじゃない、自分が産んだ命であってもコントロールしたり奪ったりする権利はないという信念を掲げている。でもこれは、昔子どもだった今の親たちにも当てはまる。つまり全員が、それぞれの命を生きている。現実的には、さまざまな事情で親が子どものために自分を犠牲にすることはもちろんたくさんあれど、子どもの命が子どものものであるように、親の命も親のものだ。

心の聖域を見つめて

 私は最近、子育てをしながら自分のことばかり見つめている気がする。娘との暮らしの中でどうしても自分の中の未解決なことや至らない部分が見えてきて、それらと向き合うしかない。そして自分の人生をどう使うんだろうかと考える。歌を歌い、届けたい。そのことがどうしても諦められない。そして些細(ささい)だけれど心から大事にしているものやこと。心の聖域の中身を見つめている。娘がこれから母の知りえない面をどんどん増やしながら育っていくように、私だって娘の知らない自分をたくさん作っていくだろう。大、大好きだから、本当は全部をささげてみたい。だけどそうできなかったことで見せられる世界もきっとあるんだと思う。これは、自分のやりたいことを通すために子と離れることが多い親の言い訳、だけじゃないと思う。きっと。 (ミュージシャン)