私立中学受験が2015年から増えている 背景に大学入試改革への不安 東京では「25%」
藤英樹 (2020年1月22日付 東京新聞朝刊)
2月は首都圏を中心に私立中学の受験がたけなわ。文部科学省の学校基本調査によると、全中学生に占める私立中生の割合は全国平均で7%程度だが、東京は25%と突出、次いで高知、京都、奈良、神奈川などが平均を大きく上回る。私立の多い地域特有の現象といえる。
昨年の1都5県の受験率20% 今年も上昇しそう
中学受験塾大手の日能研がまとめた関東地方(群馬を除く)1都5県の小学校卒業生数に占める私立中受験率は、昨年が20.2%で4年前から2ポイント近く上昇。2008年のリーマン・ショックで減少に転じたが、2015年から再び上昇に転じた。
中学受験誌「進学レーダー」の井上修編集長は「直近の日能研模試の受験者が5%近く増えており、今年も上昇しそう」と予測。背景の一つに大学の入試改革を挙げる。
「各大学がプレゼンテーション重視の総合型選抜や学校推薦型選抜に重点を移しており、変化への不安が大学付属などの私立中受験を後押ししている。親がかつて中学受験した世代ということもある」
受験生の奪い合いも 共学志向で女子中に危機感
一方、私立中の間では受験生の奪い合いも起きている。森上教育研究所の森上展安社長は「共学志向が強まり、中堅の女子中が危機感を抱いている。鉄道網が整備され、神奈川の女子中を敬遠して、東京の名門女子中を受験する動きも」と指摘する。
神奈川県藤沢市の湘南白百合学園中もそんな危機感を抱く一校。今年から、従来の4教科入試に加え、併願もできる算数1教科の午後入試と、英検の取得級を得点化する英語資格入試を導入する。
菅英昭広報部長は「近年、志願者が減っているため対策を考えた。IT社会では数学的思考が求められる。受験機会を増やすことで算数や英語の得意な子が来てくれれば」と期待する。