深谷の市立中が「アベノマスク着用」生徒に強要 「忘れたら教室に残る」文書配布

渡部穣 (2020年5月26日付 東京新聞朝刊)

 埼玉県深谷市の市立中学校が、政府が全世帯に配布した布マスク=写真=について「アベノマスク着用」と強要するような文書を、生徒に配布していたことが分かった。深谷市教育委員会は「強制の不安を与える表現があった」として25日、同校に対応を要請。学校側は「各家庭でご用意いただけるマスクでかまいません」とのメールを保護者に配信し、謝罪した。

保護者の撤回要求に「国から配られたから」と当初拒否、後から謝罪

 深谷市教委などによると、文書は臨時登校日だった22日に3年生に配られ、次の登校日の27日の持ち物として「アベノマスク着用(別のマスク着用生徒については携帯しているか)の確認」とあった。「個別指導」の欄には「アベノマスク(着用または持参)を忘れた生徒は少人数教室に残る」とも書かれていた。

 内容に驚いた保護者が学校に問い合わせ、撤回を求めた。しかし学校側は「国から配られたものなので着用すること」と応じず、「アベノマスクなら全員が所持している」「華美なデザインのマスクでアピールすることがないようにとの意味もある」などと説明したという。

 深谷市教委によると、文書の内容は学校側が独自の判断で決めていた。校長は取材に対し「配慮に欠けていた」と釈明した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月26日