都立高の男女別定員、来春から段階的に廃止へ 男女別でなければ今春は女子691人、男子95人が合格していたはず

(2021年9月25日付 東京新聞朝刊)
 東京都立高校の男女別定員制について、都教育委員会は24日の定例会で、来春の入試以降、段階的に廃止していく方針を明らかにした。今春の入試を男女別定員制なしで実施した場合、女子691人、男子95人が合格するはずだったとする試算も公表した。男女別定員制を巡っては、同じ高校の入試なのに女子の方が合格最低点が高い傾向にあり、不公平だと指摘されていた。

緩和策「9割を男女別、1割を得点順」

 都道府県立の全日制普通科の高校で、男女別定員があるのは東京都だけ。1950年度入試から続く制度だが、男女の合格最低点に差があることから、一部の高校で1998年度入試以降、定員の9割を男女別で合否判定し、1割を得点順に合格させる緩和策を導入した。本年度は110校のうち42校で実施した。

 来春はこの緩和策を、全日制普通科の全校に拡大。その影響を踏まえて第2段階として男女合同の合否判定の割合を2割に広げ、第3段階では男女別定員を廃止する。第2段階以降の時期は未定という。藤田裕司教育長は「受験生や中学校の進路指導への影響を考慮し、段階的・計画的に進める」と話した。また、性的少数者への配慮から願書の性別欄への記入は任意とし、調査書などで確認する。

 都教委の試算によれば、本年度入試では計56校で女子の合格最低点が男子を上回った。男女別定員がなければ、女子の合格者数が最多で32人増えた高校もあったという。一方、男子の合格最低点が上回ったのは18校だった。

合格最低点、女子が243点上回ることも

 男女別定員制の廃止を求めて署名活動をした都立高の男性教諭(38)は「廃止の方向性と、廃止を前提にした場合のデータが示されたことは評価できる」と一定の理解を示しつつ「都教委には各校の合格最低点を公表し、不当な制度によって不合格になる生徒がいなくなるよう、一刻も早く改善してほしい」と話した。

 都立高の全日制普通科の入試は多くの場合、内申点(300点満点)と筆記試験(700点満点)の合計で決まる。本紙が情報公開請求したところ、2015年度入試では、女子の合格最低点が男子を243点上回るケースもあった。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年9月24日