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「自分より成績下の男子が…」女子受験生も医師も怒り 医学部合格率に「明らかな差別」

(2018年9月5日付 東京新聞朝刊)
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8割の大学医学部で男子受験生の合格率が高かったことに衝撃を受けながらも、受験勉強を続ける女子受験生=都内で

2次試験会場は女子が多かった

 文部科学省が行った医学部入試の全国調査で、国公立を含む約8割の大学で男子の合格率が女子を上回ったことに、医学部をめざす女子受験生や女性医師らから「明らかな差別だ」と怒りの声が上がった。今春、10校を受験し、半数で2次試験の面接に進みながら合格に届かなかった女子受験生(19)は、「1年間の努力を踏みにじられた思い」と肩を落とす。

 女子受験生が今春受けた大学のうち2校は、今回の調査で東京医大より男子合格率が高かった13大学に入っていた。「2次試験会場に女子受験生がたくさんいて、受かりにくい大学だとは思わなかった」と話す。

 医学部は女子に厳しいという話は聞いていたが「ここまでとは」。2次で落ちた大学に、自分より模試の成績が下だった男子が受かった。当時は自分の入試のできが悪かったのだろうと反省したが、女子が受かりにくい構造があったとみられることに「ショックです」とつぶやいた。

面接官「結婚するつもりか」「出産後も続けるか」

 不正が明らかになった東京医大も受験した。同大の1次試験と他大の2次が重なり、他大をあきらめて東京医大の1次に臨んだ。「東京医大が差別していることを知っていたら、他大を受け、受かっていたかもしれない」と、悔しさが込み上げる。

 2次試験では、男性の面接官2人に「結婚するつもりはあるか」「出産後も続けるか」と聞かれたこともあった。「全員が離職するわけではないし、入学前から決め付けられるのは悔しい。医師という仕事が大変なのは分かっていて、それでもなりたい強い気持ちで受験しているのに」と憤る。

 「今うやむやにしてしまえば、この先も(差別が)隠され、医療界のあり方は変わらない。女性にしかできない医療もあるのに、それができなくなってしまう。来年の受験では、女性差別をしていそうな大学は選ばないかもしれない」

女子に不利、分かっていた「差別に慣れすぎていた」

 福岡県内の大学医学部に通う女子学生(29)は「定期試験の上位組は女子だし、留年率も女子の方が低い。なのに、女子の学生は少ない。入試が女子に不利なのは分かりきったことだった」と話す。

 受験の際は、「入試で同じ点で並んだときは、OBの子どもや男子から受かる」と聞かされ、大学のパンフレットなどで女子学生の割合が高い大学を選んだこともあるという。

 「東京医大の不正が発覚した時も『やっぱりそうなんだ』とあきらめの感情が湧いたが、学内の外国人の女性の先生が怒っているのを見て、『怒らなきゃいけない』と気付いた。差別されることに慣れすぎていたと思う」と語る。

「国に不正暴く姿勢ない。このままでは変わらない」

 「明らかな差別を、集団で隠蔽(いんぺい)していることが信じられない」

 日本女性医療者連合理事で産婦人科医の対馬ルリ子さん(60)は、数字が不平等を示したにもかかわらず、全大学が「不正なし」と報告したことに、不信感をあらわにした。「女性の能力がない、女性の努力が足りないから合格者が少ないとでも言いたいのか」

 周囲の多くの女性医師が面接などでの差別を感じていたといい「しっぽを捕まえられなければいいという考え。国も不正の実態を暴かなくてはいけないと思っていない。このままでは女性に厳しい現場は変わらない」と厳しく指摘した。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2018年9月5日]