秦野市がすべての市立中学校で完全給食スタート 温かい!おいしい!「毎日が楽しくなる」

西岡聖雄 (2021年12月2日付 東京新聞朝刊)

給食を食べる本町中学校の生徒ら=いずれも秦野市で

 神奈川県秦野市の全市立中学校で1日、主食とおかず、牛乳が提供される「完全給食」が始まった。市内に新設した市学校給食センター「はだのっ子キッチン」で調理後、最も遠い学校でも30分以内に配送され、生徒は温かい米飯やおかずを食べられる。2018年に初当選した高橋昌和市長が公約していた。

食材の3割が地元産 食品ロスを防ぐ

 生産能力は、9中学校の生徒と教職員計4500食分。1食330円。食材の3割は地元産で、将来的に5割に高める。形が悪いなどの理由で市場に出回らない食材も受け入れ、食品ロスを防ぐ地産地消サイクルの一端を担う。

 初日のメニューは冬野菜のカレーと野菜ソテー、牛乳にムースエクレア。米とタマネギ以外の野菜はほぼ地元産という。本町中学校では、保温できる食缶やコンテナでご飯やおかずが到着すると、各教室前へ運ばれ、生徒たちが手際良く盛り付けた。2年岩崎心海(ここみ)さん(14)は「お米はもちもちし、カレーと野菜のバランスも良くておいしい。デザートまであって毎日が楽しくなる」と喜んでいた。

 生徒と一緒に教室で食べた高橋市長は「あったかくておいしい。これから寒くなるのでありがたい。給食用と知っているので、地元農家もより心をこめて生産してくれる」と話した。

受注業者の施設は国内トップレベル

 全国190カ所で給食事業を手掛ける「ハーベストネクスト」(横浜市)グループが運営を受注した。100食分に対応できる食物アレルギー(卵やそばなど7品目)専用施設、一度加熱して冷やすおひたしや手作りゼリー用の真空冷却機、タマネギを素早くむく機械などを備え、調理師の負担を大幅に減らした。ハンバーグを当日調理できるなど、数千食規模では国内トップレベルの施設という。建設費を含む20年間の運営委託費は69億円。

給食を調理する学校給食センター

 神奈川県によると、県内では平塚、茅ケ崎の2市と葉山、寒川、大磯、真鶴、湯河原の5町を除く26市町村が、中学校の完全給食(選択制含む)を実施している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年12月2日