教職員の働き方改革で市川市教委「夏休み10日短縮」案を策定 「酷暑期にはリスク」「子どもが落ち込む」と反対意見も

保母哲 (2022年9月2日付 東京新聞朝刊)

市教委の計画案に反対意見が相次いだフォーラム=市川市で(関係者提供)

 教職員の長時間勤務が社会問題になる中、市川市教育委員会は、働き方改革などの一環で小中学校の夏休みを約10日間短縮し、毎週の 授業時間を減らすなどの計画案を策定した。しかし、教職員や保護者らの間から「酷暑期間の授業を増やすのはリスクがある」といった意見が相次ぎ、有志は「市川・教育問題を考える会」を結成。市教委は「(計画案は)検討段階のたたき台、案であり、今後も検討を続ける」と話している。

毎週の授業時間を2時間減らせる

 市川市教委が教職員の多忙化対策や、児童生徒の負担軽減策として取りまとめた「学期期間再編成プロジェクト」は、

  • 夏休み期間(現在は7月21日~8月末)を短縮し、2学期開始を8月21日ごろとする
  • 各学年の毎週の授業時間を2時間削減
  • 児童生徒の在校時間を短縮、最終下校時間を午後5時に

-といった内容。

 授業や部活動、事務業務などで教職員の超過勤務が問題になっており、児童生徒も授業や部活動などでの負担を軽くするのが目的とした。授業数を減らす代わりに、夏休みを約10日間削減する。

「たたき台」として今後検討

 この計画案を知った教職員や保護者の間から反対意見が上がり、市川・教育問題を考える会が発足。8月26日には市内で「子どもたちの夏休みを守ろう」をテーマにした、同会主催のフォーラムが開かれた。

 フォーラムには40人余が出席し、参加者によると、「夏休みが短くなると、子どもが落ち込む姿が想像できる」「受験を控えた中学3年はオープンスクールに行きづらくなる」など、市教委の案に反対意見が相次いだ。今後は同プロジェクトの撤回を求める署名活動も予定する。教員不足など、幅広く地域の教育問題をみんなで考えていくという。

 市川市教委の田中庸恵(ようけい)教育長は取材に対し「(プロジェクト案は)教職員の働き方改革や子どもたちのゆとりなどを目指した、いわばたたき台。2023年度から導入することはしない」と話す。「いろんな意見を伺いながら、子どもたちや教職員にとっていい夏休みを目指したい」と、今後も検討作業を続けるとした。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年9月2日

コメント

  • 田中教育長は現場をご存じないのだと思う。そこで、1ヶ月ほど教育困難校で授業を受け持つ教育実習を受けて欲しい(現場の職員にとっては災難かもしれないが)。 「研修」について肌で感じることもできる(ま
    教師のバント 男性 50代 
  • この件はその後どのような進展があったのか。是非担当者は追加の記事を上げて頂きたい。 さて、私は元高校教員なので義務の実態は知らないが、高校では授業時数が多過ぎる。時数を確保するのであれば、行事や部活
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