特別支援学校でVRを使って避難行動を学ぶ授業 通常の訓練が難しい子もゲーム感覚で

出来田敬司 (2022年9月21日付 東京新聞朝刊)

火災を想定した場面で、現場からの避難経路を確保しようとする生徒=茨城県境町で

 仮想現実(VR)のソフトを使って災害時の避難行動を学ぶ授業が、茨城県境町塚崎の県立境特別支援学校で開かれた。障害のある高校生ら約60人がゴーグルで視界を覆いながら、ゲーム感覚で非常時の手順を学んだ。

防災システム会社「能美防災」が協力

 災害の危険性や怖さを正しく認識してもらおうと、同校が防災システム会社「能美防災」(本社・東京)とともに実施した。同社が教育現場でこのソフトを利用するのは初めてという。

 ソフトでは、パソコンから発生した火事やエレベーター利用中に起きた大地震など、さまざまなパターンを選択。生徒たちは手元のコントローラー(操作機器)を使って、避難経路を確保していた。

 同校によると、知的障害がある生徒たちには、指示されないと行動できなかったり、非常ベルのような大きな音を苦手としたりする人もおり、通常の避難訓練が難しいという。

 3年生の大野陽平さん(17)は「煙が立ち上り危なかったが、落ち着いて避難ができた。VRは面白いが、実際にこんな場面に遭わない方がいい」と話していた。