夫婦デュオ「チェリッシュ」松崎好孝さん 米国レンタカーの旅が家族4人の絆を強めました

有賀博幸 (2023年4月23日付 東京新聞朝刊)

夫婦デュオ「チェリッシュ」の松崎好孝さん(大橋脩人撮影)

梨元さんが「結婚するの?」翌日に…

 エッちゃんとの男女デュオとして忙しくしていたある日、当時女性誌の記者だった梨元勝さんに、お店に呼ばれました。ボトル1本注文して、「これでも飲んで話聞かせてよ。結婚するの?」って。まだ何も決めてなくて、「結婚するときはちゃんと言う。気持ちはあるから」と答えたら、次の日、コンサート会場はカメラの列。バタバタと話が進み、1977年6月に名古屋で挙式、3日後に東京で披露パーティーとなりました。

 2人ともすぐにでも子どもが欲しかったのですが、なかなかできず、それが5年後にひょこっと娘が、その2年後には息子が生まれました。上の子の誕生を機に、東京から名古屋の私の実家に戻り、父母と同居を始めました。自分が3世代同居の家で育ち、親と一緒に暮らすのは当たり前と思っていたのです。

 父は大学の先生で、両親とも子ども好き。私たちが仕事で飛び回っている間、喜んで子どもの面倒を見てくれました。結婚前から家に出入りしていたエッちゃんのことをよく分かっており、エッちゃんも両親と上手に付き合っていました。父は2002年、母はその5年後に亡くなりましたが、嫁と義父母との関係は最後まで円満でしたね。

13年間、夏休みに米国へ 49州走破

 子ども2人は、幼稚園から高校までインターナショナルスクールに通いました。夏休みが3カ月もあり、それならひと夏を思い切って米国で過ごそうかと。周囲からは「忘れられるぞ」「仕事来なくなっても知らないよ」と心配されましたが、「その時はその時」と実行しました。私たちには、子どもと十分に過ごす時間が必要だったし、家族への投資との思いもあったのです。

 1988年に始めた家族4人の米国レンタカーの旅は、2000年まで毎年続け、アラスカ以外の49州を走破しました。子どもたちは、幼い頃は親に付き合わされるだけでしたが、成長するにつれ、頼りになりました。

 ニューヨークの土産物屋で私がふっかけられそうになった時、「冗談じゃない」って英語で猛然と怒ったり、予約なしのモーテルで宿泊の交渉をしてくれたり‥。嫌な思いをしたこともあったけれど、お金には換えられない多くの経験をし、家族の絆も強まりました。現在、米ロサンゼルスに暮らす息子は、暇を見つけては同じように家族で車の旅をしているようです。

 デュオを組んで昨年で50年。2人ともどうしても歌手になりたい、と思ってなったわけではないのに、流れのままに、好きな音楽の仕事を続けてこられた。ありがたいことです。エッちゃんは若い頃、2人の関係を冗談交じりに「頑丈な赤いロープ」と言っていたようですが、やはり「糸」ではないでしょう。今はわれわれだけでなく、娘と息子の家族みんなが、健康で幸せに暮らせることが大事だと思っています。

松崎好孝(まつざき・よしたか)

 1949年、名古屋市生まれ。71年に5人のフォークグループ「チェリッシュ」でレコードデビュー。1972年にメンバーの松井悦子さん(愛称エッちゃん)と男女デュオに。「てんとう虫のサンバ」「白いギター」などが大ヒット。2014年にエッちゃんの出身地・愛知県春日井市の観光大使に。全国を巡る「夢スター歌謡祭」「夢コンサート」に出演中。

コメント

  • NHKスタジオパークがまだあった頃番組タイムマシーンで鈴木梨央ちゃんが🎤歌う🎤てんとう虫のサンバ」が❤️大好き❤️で毎年見に行ってました。
    佐藤恭一郎 男性 30代 
  • リハビリさなかの級友を偲んで彼の好きな曲の数々を聴いていたら、若き日の思い出が込み上げて目の前がカスミました。素晴らしい曲の数々に感謝、増々ご健康ご活躍を祈ります。
     男性 70代以上