「離婚後の共同親権」に当事者から反響 子どもの福祉から考えたい
小林由比 (2021年7月23日付 東京新聞朝刊)
日本は、離婚時に父母のどちらかが親権者となる単独親権制を採用していますが、近年、共同親権を求める声があがっています。ただ、離婚理由としてDVが背景にある場合、被害を受けた側の親や子どもの安全と命を守る観点から、共同親権には重大な問題があります。その点を提起した「離婚後の『共同親権』導入していいの?」の記事に、当事者や支援者などから切実な声が寄せられました。
「被害者視点が重要」「信頼関係があれば」「日本では時期尚早」
家庭裁判所への離婚申し立て理由として、DVは少なくありません。「離婚後の親子関係をどうするかは、婚姻中に子どもが置かれていた状況をしっかり精査した上で考えるべきだ」「DVや虐待の被害者視点で考えることが何より重要」「信頼関係があれば、親権など関係なく子育てに関わることができるはず」など、記事の中で慎重さを求めた当事者たちに寄り添う意見が複数ありました。
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一方で、DV被害者の保護と親権制度の議論は切り離すべきだとの指摘も。これに対し「DVを取り締まれば共同親権で良いと主張する人にとってのDVは、刑事事件となり有罪になったものだけを指している」「モラルハラスメントなど精神的暴力を軽視しないでほしい」など、そもそもDV被害が認定されにくいことの危険性を訴える意見が目立ちました。
記事でこのテーマについて初めて知ったという読者は「良いことではないかと最初は思いましたが、日本では時期尚早だと思った。共同親権を親の権利として制度にする前に、子どもの福祉をまず考えるべきなのでは?」と指摘。傷ついた親が安心して子育てするための支援や子どもの気持ちをくみ取る仕組みなど、考えるべきことは多くあります。