DV家庭には子ども虐待がある 民間シェルターは「私」を取り戻すための場所です

(2019年11月17日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
子育て世代がつながる
 子どもに暴力や暴言を向けてしまったり、配偶者の子どもに対する暴力を止められなかったりする親自身が、DVを受けて追い詰められているケースが多くあります。DV被害者を保護し、回復を支えているNPO法人女性ネット「Saya-Saya」代表の松本和子さん(70)にDV被害者を支援する重要性について聞きました。
写真

NPO法人Saya-Sayaの松本和子代表

特集・変わりたいあなたのために

心愛ちゃん事件も結愛ちゃん事件も

―子どもへの虐待事件で、DVも判明するケースが相次いでいます。

 千葉県野田市の栗原心愛(みあ)ちゃんや、東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが両親からの虐待を受けた末に亡くなった事件では、いずれのケースでも母親も夫からDV(配偶者間の暴力)を受けていました。子どもへの虐待とDVは、どちらも相手を思い通りに支配するための暴力で、同じ構造。DVのある家庭には子ども虐待があるのです。

 被害を受けていても、それに気づき声を上げるのが難しいのがDV。「おまえのためだ」などと暴力や暴言を正当化されるうちに、罪悪感にとらわれ、自尊心や主体性を奪われるから。親密な関係の中で起きるため、第三者が気付きにくいものです。

シェルター利用者が制作したコラージュ

◇「これってDVなのかな…」と感じたら。Saya-Sayaでは自分自身についてのチェックリストも公開しています。

―DVを受けている親が子どもを守るのは難しいのでしょうか。

 被害者は圧倒的に女性です。夫の機嫌をとることだけに一喜一憂し、子どもの世話すらできなくなることもあります。実家や友人との関係を断たれ、外部に相談できないまま、事態が悪化することも多い。

 そういう人たちのためにあるのが、私たちのようなシェルターです。直接連絡してくる人もいれば、行政機関の紹介などで来る人もいます。中には、「様子がおかしい」と気づいた近所のおばあさんに助言されたのをきっかけに、子どもと一緒に逃げて来た女性も。身近な人が被害に気づき、働きかけることの大切さを感じます。

写真

NPO法人Saya-Sayaのポスター

一人で悩まず、助けを求めてほしい

―民間シェルターとはどんな場所なのでしょうか。

 シェルターをやっていると「助けを求めることは恥ずかしいことだ」「妻は夫を立てるものだ」などと我慢してしまっている女性が多いことが見えてきます。周囲に相談したら、「あなたが選んだ相手でしょ」などとかえって責められ、声を上げにくくなった人もいます。背景には女性に抑圧的な社会構造や価値観があります。

 でも、暴力を受けるのはあなたのせいではない。ささいなことだと感じても、一人で悩まないで助けを求めてほしい。「Saya」はインドネシア語で「私」を意味します。ここで周りの人とつながることで、親も子も「私」を取り戻してほしいと思っています。 

DV被害者向けの民間シェルター 

 DV被害者が緊急避難できる施設の運営団体は全国に約100あり、一時保護のほか心身の回復支援、自立支援などを行う。「Saya-Saya」は月曜午後6時半、木曜午後2時、金曜午後1時半から、各2時間の電話相談=03(6807)8443=も実施。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年11月17日

11月は児童虐待防止推進月間。虐待を防ぐため、親子を支えたり助言したりする人々から、子育てに奮闘する親たちへのメッセージを〈特集 変わりたいあなたのために〉として随時掲載します。

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

いただいた投稿は、東京すくすくや東京新聞など、
中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

あなたへのおすすめ

PageTopへ