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DVが母娘のハグを奪った、それでも… 目黒女児虐待死 母親の裁判を傍聴して

山下葉月 (2019年9月18日付 東京新聞朝刊)
 東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=が死亡した事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里(ゆり)被告(27)に懲役八年が言い渡された東京地裁の裁判員裁判。公判を傍聴する中で、優里被告が夫から受けていた心理的DV(ドメスティックバイオレンス)が、結愛ちゃんの死につながってしまったように感じた。だが、それでも結愛ちゃんを救ってほしかった。 

優里被告の父「何でも自分でやり遂げようとする子だった」

 公判の途中まで、優里被告の心情はほとんどうかがうことはできなかった。夫の雄大(ゆうだい)被告(34)=事件後に離婚=からは連日のように長時間の説教を受け、果てには「説教してくれてありがとう」と感謝するまでになったという優里被告。「結愛ごめんなさい」「周りを頼るべきだった」と悔いたが、表情はあまり変わらなかった。

 証人として出廷した優里被告の父親は、優里被告が小学校の児童会長や中学のソフトボール部主将を務めていたことを紹介し、「気がよくて、まじめ。何でも自分でやり遂げようとする子だった」と振り返った。

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「死にたい。結愛のところに行きたい」法廷でむせび泣き

 何が優里被告を変えてしまったのか。DVを専門とする精神科医は証人尋問で「『おまえのせいだ』と責め立てられ続けると、本当に自分のせいだと思い込むようになる。心理的に支配されてしまう」と指摘。雄大被告と出会う前はできていた結愛ちゃんとのハグができなくなったのも、「夫に怒られる」と恐れるDVの影響だと言い切った。

 親子の絆を壊した原因の一つはDVだったのか。そう思いながら聞いていた被告人質問の終盤、優里被告はあふれる涙をぬぐおうともせず「死にたい。結愛のところに行きたい。どうやって罪を償えばいいか分からない」とむせび泣いた。結愛ちゃんを助けられなかった自身への激しい怒りが伝わってきた。

 判決は「結愛ちゃんの衰弱の状況は明らかで、助けるためなら雄大被告による心理的影響を乗り越えることはできた」と指摘した。雄大被告の公判は来月1日に始まる。なぜ優里被告を追い詰めたのか、そして何よりも、なぜ結愛ちゃんにひどい暴力を振るったのか。公判で何を語るのか、注視したい。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年9月18日