結愛ちゃん母に懲役8年判決 目黒女児虐待死 DVは「強固な支配とまでいえない」

山下葉月 (2019年9月19日付 東京新聞朝刊)
 東京都目黒区で昨年3月、両親に虐待された船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=が死亡した事件の裁判員裁判で、東京地裁は17日、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里(ゆり)被告(27)に「夫の意向に従ってしまった面は否定できないが、苛烈な食事制限など相応の役割を果たしている」として懲役8年(求刑懲役11年)の判決を言い渡した。弁護側は懲役5年が相当と主張していた。 
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船戸優里被告

夫からの心理的DV「従属関係」認定したが

 守下実裁判長は判決理由で、結愛ちゃんが継父の雄大(ゆうだい)被告(34)=同罪と傷害罪などで起訴=からの虐待に加え、大好きだった母からも食事制限を受けてやせ細り、重篤な状態になっても病院に連れて行ってもらえなかったと指摘。「被害児童の感じたであろう苦しみ、悲しみ、絶望感は察するに余りある」と非難した。

 雄大被告からの心理的DV(ドメスティックバイオレンス)については「看過できない影響があり、従属関係が見て取れる」と認定したが、「離婚を切り出すなど抵抗の態度を示したこともあり、心理的に強固に支配されていたとまではいえない」と判断した。

裁判長「しっかり考え、やり直してください」

 判決によると、優里、雄大の両被告は、昨年1月下旬ごろから結愛ちゃんに十分な食事を与えず、2月下旬ごろには雄大被告の暴行で極度に衰弱していたのに、虐待の発覚を恐れて病院に連れて行かず、3月2日、肺炎による敗血症で死亡させた。両被告は事件後に離婚した。

 判決の言い渡し後、守下裁判長が「結愛ちゃんは戻ってこないが、裁判が終わった後もしっかり考え、やり直してください」と語りかけると、優里被告は小さく「はい」とうなずいた。

5歳の子を持つ裁判員「いたたまれなかった」

 結愛ちゃんは「パパ ママ もうおねがい ゆるして」と親に許しを請う文章をノートに書き残し、親による子への体罰を禁じる法改正のきっかけとなった。

 閉廷後に東京都内であった記者会見で、5歳の子がいるという補充裁判員の40代男性は「被害者のつらさや苦しみを想像し、いたたまれなくなった。被告はしっかり生きてほしい」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年9月18日

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