児童虐待対策、米国では? 目黒虐待死を受けて勉強会

木原育子 (2018年9月13日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

ヘネシーさん(左)の話を真剣な様子で聞き入る児相の職員ら=新宿区内で

 東京都目黒区のアパートで3月、両親から虐待を受けた船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=が死亡した事件を受けて、児童相談所(児相)や児童養護施設の職員らでつくる「子ども研究会」が、米国の児童福祉の現状を学び、日本の現場に生かそうと勉強会を開いた。子どもを守るとともに、親の立ち直りを支える米国の取り組みを知り、参加者からは日本の制度の抜本的な見直しの必要性を指摘する声も聞かれた。

児童保護ワーカーと警察官ペアで家庭に

 勉強会は9日、米国の状況に詳しい東京福祉大名誉教授のヘネシー澄子さん(80)=米コロラド州在住=を招き、新宿区の乳児院で開いた。児相職員や各区担当者、保育士ら約35人が参加した。

 ヘネシーさんが紹介したコロラド州では、児童虐待の通告を受けると、児童保護ワーカー(日本の児童福祉司)と警察官がペアで家庭訪問し、子どもを保護する。46時間以内に家庭復帰までの計画を裁判所に提出。両親は親権を停止された状態で半年~1年半の間、怒りの制御や薬物治療などの立ち直りプログラムを受けるという。

 ヘネシーさんは「日本は司法が直接的に関与せず、虐待する両親に親権を預けたまま対応しており、子どもを守る制度になっていないのではないか」と指摘。

 結愛ちゃんのケースについて、ヘネシーさんは「(転居前の香川県で)義父は傷害容疑で2度も書類送検(不起訴)されていた。虐待は犯罪だという意識が足りない」と訴えた。

考え直すべき日本の制度

 保護した子どもへの対応では、「米国では子どもをできるだけ早く永久的な人間関係の生活に戻すよう、政府が各州に指示している」と説明。コロラド州は初期の受け入れ先の一時保護所を廃止し、専門的訓練を受けた里親に預けていると話した。

 児相職員ができることとして「虐待を受けると、子どもは人を信頼できなくなる。愛着関係を育める安全な場所で育て直しができるよう環境を整えてあげてほしい」と語りかけた。

 参加した児童福祉司の1人は「米国は親への指導プログラムもしっかり考えており、日本も根っこから考え直すべきだと認識が変わった」と話した。

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