子どもの脳はどう育つ?(8)健やかな脳の発達 望ましい生活習慣は?

滝靖之(東北大加齢医学研究所教授) (2018年5月30日付 東京新聞朝刊)

 皆さん、こんにちは。前回は、子どもの健やかな脳の発達には、どの時期にどのようなことを行うのがよいのか、というお話をしました。今回は、子どもの脳の発達に重要な生活習慣についてお話しします。

 子どもの脳は、とてもダイナミックに発達していきます。ネットワークをどんどん形成したり、一方で使う頻度の低いネットワークは無くしたりします。そのため、生活習慣の影響も大きく受けることが明らかになっています。

イラスト・伊藤亜美

 では、どのような生活習慣が望ましいのでしょうか。まずは朝食です。朝食を取ることは、ダイナミックに発達している脳に十分なエネルギーを与えるために重要です。実際、朝食を毎日しっかり食べている生徒は、食べていない生徒よりも、学業成績が良いという報告がいくつもあります。

 では、朝食は食べれば何でもよいのでしょうか。もちろん、食べないよりは食べる方がよいといえます。可能ならば、砂糖をたっぷり使った菓子パンよりも、ご飯とおかずといった、栄養バランスの取れた食事であればなおよいでしょう。

 もちろん、菓子パンが悪いといっているのではありません。脳の発達の観点から見て、毎日取る朝食の主食には、パン食よりも米食の方が優れていることが分かっているのです。

 睡眠も重要です。睡眠不足は、脳の「海馬」と呼ばれる領域の発達を抑えてしまいます。ですから、子どもたちが1日8~9時間程度の十分な睡眠を取ることは、脳が成長していく上で極めて重要なのです。遅くまでゲームやインターネットをしたり、徹夜で勉強したりすることは、避けましょう。簡単なことなので、ぜひ今日から取り入れてみてください。