悩ましい虫歯菌 親の唾液NGを徹底していたのに…〈古泉智浩さんの子育て日記〉49
6歳のぽんこちゃん、奥歯が…
6歳のぽんこちゃんが入学前健診をしたところ、虫歯になっていました。下の奥歯が1本穴が開いていて、とてもショックを受けました。親の虫歯菌をうつさないよう徹底してきたのに…。
昔は、離乳食は親がかみ砕いたものを食べさせるのが一般的でしたが、今ではあり得ません。親が直箸(じかばし)で食べ物を取り分けることもNGです。熱い食べ物を冷ますために、親がふーふーと息を吹きかけることすらアウトの説もあるそうです。
さすがにふーふーはしていますが、とにかく子どもと親の唾液の交換は絶対にNG。それは大人の唾液には虫歯菌が含まれているからだと強く言われています。しかしそれなら、虫歯菌がなければ歯磨きしなくても虫歯にはならないのでしょうか。
現在9歳のうーちゃんも親の唾液NGは徹底してきました。先日歯並びを見てもらうために歯医者さんに行った時、1週間以上歯を磨いていなかったと白状されました。3年生にもなってあれこれ言われるのも嫌だろうから歯磨きも自主性に任せていたら、ろくに磨いていなかったのです。
しかし虫歯はゼロで、先生も驚いた様子でした。本当に虫歯菌が存在しなければ、歯磨きをしなくても虫歯にはならないということなのでしょうか。口臭予防などもあるし、虫歯でなくても歯磨きはしてほしいです。
もう気を付けなくていいのか
ぽんこちゃんは毎晩、仕上げ磨きをしています。嫌がって口をすぼめるので、奥歯までちゃんと磨けていなかったのかもしれませんが、虫歯には思い当たる節があります。赤ん坊の時から大変な食いしん坊で、大人が何かを食べているのを見ると口をもぐもぐさせていました。ちょっと目を離したすきに、おばあちゃんが食べかけで置いていたまんじゅうなどを食べてしまうこともありました。僕の使っていたスプーンをぺろぺろなめていたこともあります。
一発アウトなのか、複数回のリスクでお口に虫歯菌がもたらされたのか、分かりませんが、とにかくもう虫歯菌のお口になってしまいました。こうなってしまった以上、もう気を付ける必要はないのでしょうか。大人とお皿を共有することに神経をとがらせなくてもいいのでしょうか。
おばあちゃんは、かみ砕いた離乳食時代を生きた世代です。唾液NGの常識はありません。取り分け用スプーンを使ってくれなくて、家族がギスギスしてしまうこともあります。ちょっとくらい虫歯菌があっても、しっかり歯磨きしておおらかに暮らした方がいいのではないかと思いを巡らせつつ、今日も皿は別にしています。
古泉智浩(こいずみ・ともひろ)
漫画家。養子の9歳男児うーちゃんと、6歳女児ぽんこちゃんを育てる。
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