ついカッとなって…しつけはこれでいいのでしょうか〈古泉智浩さんの子育て日記〉48

(2023年11月29日付 東京新聞朝刊)

古泉智浩さんの子育て日記

ぽんこちゃんがキッチンで勝手に…

 「ぽんこちゃん、保育園行かない」-。こんな朝もあります。行ってもらわないと困ります。家にはおばあちゃんがいるけど、ずっと子どもの面倒を見ているわけにはいきません。ぽんこちゃんは目を離すとキッチンでフレンチトーストを作り始めるなどして大変なことになります。ボウルに卵を割って入れて、ちぎった食パンを入れて泡だて器を使ってかき混ぜます。大変な分量の塩こしょうを入れている時もあります。火を使わないだけ助かっています。

 「どうすんのこれ! 一人でお料理しちゃダメって言ってるでしょ」。叱った時は「ごみんなしゃあ~い」と泣きながら言いますが、何度も何度もしています。そのうち包丁で手を切るのではないかと心配です。言っても聞かないので、保育園が休みの日はなるべくどこかに連れ出して1日を乗り切ります。分別が付くまで保育園にずっといてほしい。

写真

何度言っても聞いているのか分からない2人

 そういうわけで、うちではしつけがほぼなされていません。「子どもに真剣に何度も言い聞かせていれば、なんとなく伝わるよ」と言うパパ友もいますが、それはその子が賢いからではないでしょうか。うちでは通用しないので、「○○してくれたらおやつあるよ」とごまかしています。

「きつく叱ってもなんの意味もない」

 ご時世として体罰は絶対に許されず、強く怒鳴りつけたり、罰を与えたりするのも虐待です。僕らは里親だったため、そんな行為をしたら資格を剝奪されて、子どもも児童相談所に返さなければなりません。

 いけないとは分かっていても、カーッとなる場面もあります。それはストーブに触る、道路に飛び出すなど、本当に命やけがの危険がある場合です。厳しく禁じるしかないこともあるのではないかと考えています。

 幸いなことに、お兄ちゃんは9歳、ぽんこちゃんは5歳になりますが、体罰を与えなくとも大きなけがなく過ごせています。僕だけでなく、妻やおばあちゃんも「ダメ」と言ってくれているおかげです。

 小児科に相談した時、カーッとなってきつく叱ってもなんの意味もなく、ストレスにしかなっていないと教わりました。それから子どもたちを従わせるのではなく、「どうするの?」と問いかけることにしています。お兄ちゃんは分別があるので、それでうまくいくこともあれば、いかない時もあります。この間は、どしゃぶりの日に「傘を使わずに学校に行く」と言うので「へえ、そうしてみれば?」と言ってみると、あまりの大降りに傘を差して行きました。こんな感じでいいのでしょうか。

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)

 漫画家。養子の9歳男児うーちゃんと、5歳女児ぽんこちゃんを育てる。

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