虫歯の菌はどこからくる?最もなりやすい時期は?  歯の専門家に聞きました

三輪喜人 (2019年7月1日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
 子どもの虫歯を防ぎたい、という思いで朝晩の歯磨きに四苦八苦している家庭も多いのではないでしょうか。そもそも、虫歯はどのようにできるのでしょうか。虫歯防止のポイントとともに、東京医科歯科大大学院の保坂啓一助教(う蝕制御分野)に聞きました。
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虫歯防止にカバも歯磨き=埼玉県宮代町の東武動物公園で (2010年5月撮影)

スプーン、食器、キス 親の唾液から感染します

 虫歯菌は、食べ物に含まれる砂糖などの糖質をエサにして強力な酸を出します。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、穴を空けます。

 虫歯菌の代表が、ミュータンスレンサ球菌です。生後間もない赤ちゃんの口の中には存在せず、親などの唾液から感染します。経路はスプーンやコップ、食器の使い回し、愛情表現のキスなどです。

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代表的な虫歯菌・ミュータンスレンサ球菌(撮影:東京医科歯科大学大学院う蝕制御学分野マティン・カイルール)

乳歯が生え始める生後19~31カ月が「感染の窓」

 虫歯菌を防ぐには「感染の窓」と呼ばれる生後19~31カ月が大事です。乳歯が生え始める時期で、保菌者の約半数がこの期間に定着します。感染から口の中に定着するまで数日かかるので、大人がしっかり歯磨きしてあげれば予防になるそうです。

 一番虫歯になりやすいのは6~12歳。とくに新たに生える奥歯への菌の定着を防ぐと「大人になってからも虫歯になりにくい」と保坂さん。予防法には、フッ素を塗る、歯の細かい溝をセメントや樹脂で詰める、などがあります。

歯磨きより「食生活がすべて」という歯科医師も

 さらに大事なのは食生活。子どもや若者では、砂糖のコントロールです。虫歯菌がいても砂糖がなければ、エナメル質を突き破るような強い酸は作られません。歯磨きより食生活がすべてという歯科医師もいるそうです。

 普段、口の中は唾液の働きで中性に保たれますが、食事をすると酸性になり歯が溶けやすい状態に。甘い物をだらだら食べたり、間食が多かったりすると、中性に戻る時間が無くなり、虫歯になりやすい。

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東京医科歯科大大学院の保坂啓一助教

 保坂さんは「砂糖を含む間食を避け、甘い物が食べたいときは、食後のデザートで取ったり、人工甘味料を上手に利用したりするといいでしょう。ただ、高齢になるとエナメル質に覆われていない歯根が露出し、お米に含まれるでんぷんでも虫歯になるから厄介です。歯科医院の定期的な受診が大切です」と話しています。

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