「はみがきキラーイ」逃げ回る子、慣らすコツは? 歯科医師に聞きました

(2019年2月8日付 東京新聞朝刊)
 健康な歯のために、小さなころから身に付けておきたい歯磨きの習慣。だが、歯ブラシが口に入るのを嫌がる子どもは多く、記者も毎食後に逃げ回る長男(1つ)に悩む日々だ。どうすれば嫌がらずに磨けるのか。子どもの歯磨き指導に詳しい歯科医師や歯科衛生士にこつを聞いた。

まず刺激 口の周りを触ったり、歯をぬれガーゼで拭いたり

 「0~2歳までは歯磨きに慣れることが大切。まずは口の周りのスキンシップから始めてください」。日本小児歯科学会認定の歯科衛生士で、名古屋市中区のなかやま歯科の滝本尚美さん(45)は言う。

 生後6~9カ月ごろから下の前歯が生え始める。その前に子どもに声をかけながら、口の周りを軽く手で触り、刺激に慣れさせておくのが良いという。歯が生えた後はぬれたガーゼで歯の表面を拭く。歯ブラシを見せて興味を示したら手に握らせ、口の中に入れてみる。

 歯磨きに対する意識が高まり、泣いて嫌がるのを押さえたりして歯磨きを頑張る保護者もいる。「離乳食が始まると唾液の分泌が多くなり、食べかすを流してくれる。まずは1日1回を目標にして、必ず毎食後にしっかり磨こうとプレッシャーを感じなくていい」。無理強いして子どもが歯磨きを嫌いになり、さらに抵抗するという悪循環にならないよう注意を促す。

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機嫌のいいときにサッと 嫌がったらやめ、とにかく褒める

 記者の長男はガーゼで口の中を拭くのは嫌がらなかったが、歯ブラシになると大暴れ。1歳半をすぎて力も強くなり、手足を押さえる私が必死な表情になると、一層泣いてしまう。子どもにとっても親にとっても、歯磨きがつらい時間になっていた。

 こんなとき、滝本さんが勧めるのは機嫌のいいときにさっと磨くこと。嫌がったらやめて、とにかく褒めることが大切だという。「口を開けられてえらいね」「歯ブラシでゴシゴシできてすごいね」。少しでもできたら一緒に喜ぶようにすると、歯磨きを楽しく感じられるようになるという。

絵本、歌、キャラのシール…楽しむ方法を一緒に見つけよう

 工夫は他にもある。絵本やぬいぐるみ遊びを通じて、歯磨きをしないと虫歯になることを学んだり、歌に合わせて歯磨きしたり。親が歯磨きをしているところを見せて一緒にやるよう誘い、子どもと向かい合って互いに磨きあってもいい。

 歯ブラシの持ち手にお気に入りのキャラクターのシールを貼るなど、興味を持ちそうなことを試してみよう。「無理せずに少しずつ、子どもが歯磨きを楽しむ方法を一緒に見つけてほしい」と、滝本さんは呼び掛ける。

 同院長で日本小児歯科学会専門医の中山隆介さん(53)は「歯磨きは大切だが、それだけで虫歯を防げるわけではない」とも指摘。唾液の分泌が減る寝る前におやつやジュースを取らない、繊維質のものをしっかりかんで食べるなど、食生活にも気を配ることで子どもの歯の健康を守ってほしいと呼び掛ける。

 

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