ベビーカー乗車をトーマスが歓迎! 都営大江戸線に「子育て応援スペース」 公共交通機関で初
「危険を感じた」保護者らの要望が形に
30日、スペースを設けた車両が清澄白河駅で披露され、親子連れら7人が見学した。長男の平本律樹くん(3つ)を連れた沙織さん(34)=品川区=は「電車には気を張って乗らなきゃいけなかった。『子どもウエルカム』なデザインにしてくれたことで気持ちが和らぐ」と話した。
平本さんらは2月、保護者を対象にインターネット上でアンケートを実施。子どもと電車に乗ったとき、抱いた子どもやベビーカーが押しつぶされそうになるなどの危険を感じたことが「ある」「どちらかといえばある」と答えた人が9割を超えた。この結果などを基に、子育て応援車両の導入を求める要望書を小池百合子知事に提出した。
全58編成のうち3編成の3、6号車に設置
子育て応援スペースは大江戸線の全58編成のうち3編成の3、6号車に設け、車いすなどで乗れる優先席の周りにトーマスなどのイラストを施した。高齢者ら誰でも利用できる。運行時刻は当日の始発前に東京都交通局のホームページで公表する。
「満員電車の子連れ通勤」に賛否両論…背景にあるものは?
2月の記事に非難コメントも
「ため息をつかれた」「批判的な目で見られる。毎回タクシーを使うのは、お金がかかりすぎて無理」。子連れの通勤でつらい思いをする母親たちの声を「東京すくすく」に掲載すると、さまざまな体験談が寄せられた。
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「子連れに配慮し、譲るのは当然」「頑張れ、ママさん」と応援の書き込みがある一方で、「ラッシュ時にベビーカーで乗る必要があるのか」と、非難するコメントも少なくなかった。
小池都知事「社会のニーズ」
子育て応援スペースの狙いについて、小池百合子知事は本紙の取材に「女性(専用)車両も、今も賛否ありますよね。(今回の)キッズ車両にまた賛否はあろうと思いますが、社会のニーズだと思う」と説明。「(子育てへの応援が)当たり前だと思われる東京、成長一辺倒でなく成熟社会の一つの象徴になるのでは」と述べた。
NPO法人「せたがや子育てネット」代表の松田妙子さん(49)は、国土交通省の協議会でベビーカーを利用しやすい環境づくりに取り組んできた。「専用車両に子どもが隔離されるのではなく、いろんな人と一緒に乗れるところが良い」と都の取り組みを評価。「目をキラキラさせる子どもを見てほしい。子どもと触れる機会が増えれば、(子育てについて)社会全体で考えるきっかけになる。子どもがどんどん街に出られる社会にしたい」と語る。
ストレスをぶつけられる弱者
明治大の藤田結子専任教授(社会学)は、子育てと仕事の両立のため、子連れ通勤で奮闘する母親らへの批判が少なくないことについて「目の前にいる弱い者、子どもや赤ちゃんに、ストレスがぶつけられている側面があるのでは。不満は、満員電車に子連れで乗らざるを得ない状況をつくっている政府に向けるべきだ」と指摘した。
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