ベビーカー乗車をトーマスが歓迎! 都営大江戸線に「子育て応援スペース」 公共交通機関で初

(2019年7月31日付 東京新聞朝刊)

都営大江戸線の車内に設けられた子育て応援スペース=30日、都営地下鉄・清澄白河駅で(木口慎子撮影)

 子どもと一緒に安心して乗ってね-。東京都は7月31日から、都営大江戸線の一部車両にベビーカーなど小さな子ども連れでも乗りやすい「子育て応援スペース」を設ける。社会全体で子育てを応援する雰囲気をつくるのが狙いで、人気アニメ「きかんしゃトーマスとなかまたち」のイラストに囲まれている。国土交通省によると、子育て応援を掲げたスペースの設置は公共交通機関で初めて。 

「危険を感じた」保護者らの要望が形に

 30日、スペースを設けた車両が清澄白河駅で披露され、親子連れら7人が見学した。長男の平本律樹くん(3つ)を連れた沙織さん(34)=品川区=は「電車には気を張って乗らなきゃいけなかった。『子どもウエルカム』なデザインにしてくれたことで気持ちが和らぐ」と話した。

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 平本さんらは2月、保護者を対象にインターネット上でアンケートを実施。子どもと電車に乗ったとき、抱いた子どもやベビーカーが押しつぶされそうになるなどの危険を感じたことが「ある」「どちらかといえばある」と答えた人が9割を超えた。この結果などを基に、子育て応援車両の導入を求める要望書を小池百合子知事に提出した。

全58編成のうち3編成の3、6号車に設置

 子育て応援スペースは大江戸線の全58編成のうち3編成の3、6号車に設け、車いすなどで乗れる優先席の周りにトーマスなどのイラストを施した。高齢者ら誰でも利用できる。運行時刻は当日の始発前に東京都交通局のホームページで公表する。

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「満員電車の子連れ通勤」に賛否両論…背景にあるものは?  

 満員電車に子どもを連れて乗ることには、賛否両方の意見がある。自宅から遠い保育所に子どもを預けるため、ベビーカーで通勤電車に乗らざるを得ない母親らを本紙が2月に紹介すると、「わがままだ」など厳しい声も寄せられた。識者らは、子育てへの理解を促すきっかけとして都の取り組みを評価する。

2月の記事に非難コメントも

 「ため息をつかれた」「批判的な目で見られる。毎回タクシーを使うのは、お金がかかりすぎて無理」。子連れの通勤でつらい思いをする母親たちの声を「東京すくすく」に掲載すると、さまざまな体験談が寄せられた。


〈関連記事〉「満員電車にベビーカーで乗るな!」 罵声、舌打ち…ノーモア「びくびく通勤」 当事者がアンケート


 「子連れに配慮し、譲るのは当然」「頑張れ、ママさん」と応援の書き込みがある一方で、「ラッシュ時にベビーカーで乗る必要があるのか」と、非難するコメントも少なくなかった。

小池都知事「社会のニーズ」

 子育て応援スペースの狙いについて、小池百合子知事は本紙の取材に「女性(専用)車両も、今も賛否ありますよね。(今回の)キッズ車両にまた賛否はあろうと思いますが、社会のニーズだと思う」と説明。「(子育てへの応援が)当たり前だと思われる東京、成長一辺倒でなく成熟社会の一つの象徴になるのでは」と述べた。

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見学に訪れた親子連れを案内する小池都知事

 NPO法人「せたがや子育てネット」代表の松田妙子さん(49)は、国土交通省の協議会でベビーカーを利用しやすい環境づくりに取り組んできた。「専用車両に子どもが隔離されるのではなく、いろんな人と一緒に乗れるところが良い」と都の取り組みを評価。「目をキラキラさせる子どもを見てほしい。子どもと触れる機会が増えれば、(子育てについて)社会全体で考えるきっかけになる。子どもがどんどん街に出られる社会にしたい」と語る。

ストレスをぶつけられる弱者

 明治大の藤田結子専任教授(社会学)は、子育てと仕事の両立のため、子連れ通勤で奮闘する母親らへの批判が少なくないことについて「目の前にいる弱い者、子どもや赤ちゃんに、ストレスがぶつけられている側面があるのでは。不満は、満員電車に子連れで乗らざるを得ない状況をつくっている政府に向けるべきだ」と指摘した。

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元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年7月31日

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  • 匿名 says:

    うわ〜これは良いですね。空間そのものが子育てを応援していて。過去記事に母子(父子だとまた違うんですかね?)への厳しいコメントばかり載っていてガッカリしましたが。民度低いなと思います。
    公共空間における子育てしている方々への配慮や優しさが、同乗する方々にも浸透すると良いなと思います。

  • 匿名 says:

    電車通勤の際によく見かけるベビーカーや車椅子のためのスペース、おじさん達だけではなくマークに気づかずその広いスペースを陣取ってペチャクチャ喋る若者達に対してもイライラして乗っています。
    さらには渋谷駅でのエレベーターでも、ベビーカーがずらりと並んでいるのに若者達が何食わぬ顔で乗っているのをみて、これはもっと社会の中で、子持ちに対する道徳や思いやりとして教育していって欲しいと思いました。
    お互い思いやりがあればそもそもこんな事にはならないのにといつも思います。
    こちらはいつも申し訳ないと思いながら乗ってます。
    電車で嫌な思いをしてからはタクシーで通ったこともありましたが、月々タクシー代だけで16万円。これって子供と一緒に通勤しなければならないだけで払わないといけない値段なのでしょうか。
    子連れを見るのが嫌な人がタクシーに乗ればいいと思います。子供いない分、お金に余裕あるんだから。

    私達も税金払ってるんだから気を使わずに堂々と電車に乗らせていただきます。

    余裕ないのに子供を作るから…といった意見も読みましたが、元は余裕があったけれど、子供ができて子持ちの女性として社会の中に居づらくなって、色んなことがあって余裕がなくなってきた。の方が正しいと思います。
    例えばタクシー代に月々16万円かかり続けて、余裕がなくなったとかですね。
    私もそのうちの一人です。

    それからタイムマネジメントなんて、子供はロボットじゃないんだからそんな簡単にいきません。熱出した、お漏らしした、ぐずりはじめた、吐いた。そんな予想外の事が重なると朝のタイムマネジメントなんてできないんです。
    朝は子供との戦いです。
    うちの場合は子供の保育園のお弁当の時間も入れると準備だけで3時間半かかります。そこからさらに通勤ですよ?
    ラッシュ時に乗るななんて笑
    そっちがラッシュ時避けてくださいよ…思いやりなさすぎます…。

    お子様がいない人には分からないんだなと今回の記事とコメントを読んで余計に感じました。

    海外ではあんなに子供に優しいのに、日本は遅れ過ぎていますね。この国に生まれた事が本当に残念でなりません。

      
  • 匿名 says:

    別にさ~子どもに腹を立ててるわけじゃないのよ~今の母親が譲ってもらって当たり前、優しく気配りしてもらって当たり前、金なし、余裕なしのクセに子どもなんか作るから、こんなことになってしまったのです。少子化にしてしまったのは、明らかに政府です。主宰の投稿者は、自営業なのに、小田急線と千代田線で怒鳴られたなんていってますからね。タイムマネジメントが出来ないとアピールしてるように感じました。

      
  • 匿名 says:

    この記事を読み感動しました!!声を上げ立ち上がったママたち、実際に作った小池都知事、そして記事にした方々に感謝です。専業主婦でも、事情があり朝早く電車に乗らないといけない日もあり、肩身の狭い思いをします。ベビーカーに、わざとぶつかる人もいます。どうせ遊びに行くんだろと言われている気持ちになります。あの狭い空間での、あの時間はすごくただただ息苦しく悲しいです。こんな車両があればいいのになと毎回思っていました。早く、全線に出来る事を願っています。

      
  • 匿名 says:

    今回の電車は素晴らしい取り組みだと思います。もっと、子育てをしやすい日本になる第一歩だと思います。特に東京の朝のラッシュ時はすごい混雑です。でも、子供を連れていかなくてはいけない何らかの理由があるのです。その時間に子供を連れて行かなくてはいけないんです。もっともっと、子供連れでもストレスのない交通機関が発展することを願っています。これからの日本を背負う子供たちのために。

      
  • 匿名 says:

    私は都民ではありませんが、首都である東京がこういった取り組みを率先して行ってくださることの社会に与えるインパクトは非常に大きいと思います。子連れ通勤の大変さというものを多くの日本人が意識するきっかけにもなったのではないでしょうか。勇気をもって声を上げられたお母様方、そして、その思いをしっかり受けとめてこんなに早く形にしてくださった小池都知事と東京都の皆様に感謝します。

      

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