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〈パリ特派員の子育て通信〉ベビーカーでのお出掛けの「強敵」とは…

竹田佳彦  

パリ特派員の子育て通信

 2017年9月からフランスに駐在する東京新聞パリ支局の竹田佳彦記者(40)が、現地の子育てについてつづります。随時掲載。

登園時、肩車をしてもらってご満悦の娘

 「遅れちゃう、遅れちゃう」。玄関の扉が閉まり、見送る妻の顔が見えなくなると娘が叫びます。私と幼稚園に行く朝、家を出るのが遅くなると娘が私に言うのがこの言葉。抱っこか肩車で幼稚園まで走れ、との要求です。娘の体重は15キロ以上。朝からちょっとした重労働です。

 娘と遠出する際は、出先で寝てしまうとお手上げなのでベビーカーが安心。最近は子ども用のキックスケーターで出掛けることが多い娘ですが、先日は本人が「ベビーカーで行く」と宣言。理由を聞くと、「すぐ眠たくなっちゃうから」。妻と私が「大きくなったから、出先で寝られると大変だね」と話すのを聞いて、気を使ったのかも、と少し申し訳なく感じました。

 ベビーカーでの外出で問題なのは、パリのバリアフリー事情です。バスは低床車が多く問題ありませんが、地下鉄はあまりエレベーターが設置されていません。あっても、地下1階から地下2階部分だけというようになぜか一部分だけ。エスカレーターが故障や修理中で使えないことも珍しくありません。階段を使わずにホームへ行くことはほぼ不可能。寝ている娘が乗ったベビーカーを夫婦二人で持ち上げて運ぶのは、なかなか骨が折れます。

 その短所を補っているのが、周りの人たちの優しさと言えるでしょう。客が多い車両に乗っても嫌な顔はされません。ベビーカーを押して階段に近づくと、毎回誰かしらが「手伝いますか」と声を掛けてくれます。運び終わると、何事もなかったかのようにさっそうと立ち去っていくのです。渡仏後、初めて声を掛けてもらったときは、そのさりげなさにほれぼれとしました。もっとも、中途半端なバリアフリーを解消してほしい気持ちにかわりはありませんが…。

 もう一つ、ベビーカーの強敵が石畳です。路面の凸凹や溝にタイヤが引っ掛かってハンドルを取られ、ガタガタと振動も。乗り心地も良くないはずです。歴史的な街並みを歩くのは良い気分ですが、急ぎの時は特に困ります。

 歩道が狭かったり、歩道にせり出したカフェのテラス席に邪魔されたりして、車道を歩かざるを得ないことも。乗り捨て式の有料キックスケーターが放置されていたり、犬の〝落とし物〟があることもしばしば。屋内は禁煙のため、建物の入り口に多い喫煙者のたばこの火や副流煙も気になります。

 次々に現れる強敵を避けながらの街歩きは、さながら障害物競走のよう。パリ市内で車いす利用者をほとんど目にしないのは、こういう状況のせいかもしれません。

 調べてみると、パリ首都圏の鉄道・地下鉄駅の場合、2018年11月時点でバリアフリー化率はまだ38%。フランス国内では14年末までに公共施設のバリアフリー化を終える予定でしたが、15年の調査で達成率は40%。目標期限はパリ五輪・パラリンピックが開かれる24年の前年までと先延ばしされました。五輪を契機に子連れのお出掛けの強敵が解消されることを願っています。