小金井市が市立保育園3園を廃止へ 民営化から方針転換、理由は財政負担 市民からは反発も
花井勝規 (2021年7月29日付 東京新聞朝刊)
東京都小金井市は28日、現在5園ある市立保育園のうち老朽化した3園を廃止する方針を決め、市議会厚生文教委員会で廃止案を説明した。市はこれまで、保育園の民営化を検討してきたが、財政負担の重さなどを理由に方針を転換した。市民からは反発も予想される。
老朽化…建て替えには1施設4~5億円
小金井市が廃止の方針を打ち出したのは、さくら保育園(貫井北町)、くりのみ保育園(東町)、わかたけ保育園(前原町)。いずれも昭和40年代に建てられた建物で、築後49~53年が経過している。くりのみ、さくらの2園は来春からゼロ歳児の募集を止め、段階的に縮小し、最後の園児が卒園する2027年春に廃園する計画。わかたけは2園の状況を見ながら廃園計画を決める。
市によると、老朽化した園の施設を建て替える場合、1施設あたり4億~5億円がかかる。廃園による財政効果として、保育士27人減による人件費のほか、建て替え費も不要になることから、10年間で約30億円の経費削減を見込む。
反対の声「市営ならではの支援拠点に」
市保育課の担当者は「小金井市はずっと市立5園体制を維持してきた。近年は民間参入が進み、待機児童問題も解消されつつある」と3園の廃止に理解を求める。市の調べでは、1996年時点の多摩地域26市の認可保育園492園のうち市立は約41%だったが、2020年には863園のうち市立は約17%に減り、民間参入が顕著になっている。
元民間保育園の施設長で、市の廃園方針に反対する安藤能子(よしこ)さん(71)は「お金がないから廃園するというのでは能がない。定員は半分でもいいからショートステイなど子育て支援機能を盛り込み、市営ならではの拠点として再整備してほしい」と話している。
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