〈保育園給食の人気レシピ〉チキンビーンズ コロコロ具材が生む「食べてみよう」の連鎖

 活動量が増えてきた子どもたち。今月は、好奇心あふれる子どもたちの心をくすぐるメニューを紹介します。コロコロした具がいっぱいの「チキンビーンズ」は、スプーンにものせやすく、どの子も気になる具を狙って口に運ぶ、管理栄養士の中村えみ子さんおすすめの一品です。卵・乳・小麦アレルギーのお子さんも一緒にどうぞ!
※紹介するのは、保育園で<1~2歳の子ども10人分>として作っている分量です。目安としては、<大人2人+よく食べる小学生くらいの子ども2人>が満足できるくらいの量です。家庭でも作りやすい分量ですが、ご家族の人数や食欲に合わせて、半量や1.5倍量にして作ってみてください。

材料(子ども10人分)

  • 鶏もも肉 250g(1枚)
  • にんじん70g(1/2本)
  • 玉ねぎ    150g(中1個)
  • じゃがいも150g(中2個)
  • ゆで大豆缶 100g(1缶)
  • サラダ油 7g(小さじ2)
  • おろしにんにく 1g(小1かけ)
  • カットトマト 200g(1/2缶)
  • コンソメ 4g(小さじ1)
  • トマトケチャップ 30g(大さじ2強)
  • 砂糖 7g(小さじ2)
  • パセリ粉 少々   

※かっこ内はだいたいの目安です。

作り方

1. じゃがいも、にんじんを1cm角に切る。

2. 玉ねぎを1cm四方に切る。

3. 鶏もも肉を食べやすい大きさに切る(園では1cm角くらい)。

4. フライパンにサラダ油を入れ、おろしにんにくを軽く炒め、鶏肉を加えて表面の色が変わるまで炒める。

5.(4)にカットトマト、トマトケチャップ、コンソメ、砂糖を加え、ふつふつと沸騰してきたら弱火にして10分ほどコトコト煮込む(時間がない場合は煮込まなくてもOK)。

6. 別の鍋に水、にんじんを入れ、ふたをして蒸し煮する。

7.(6)のにんじんがやわらかくなってきたら、玉ねぎ、ゆで大豆、じゃがいもを加え、串がスッと通るようになるまで蒸し煮する。

8. やわらかくなった(7)の具を(5)に加えて煮る。

9. 皿に盛り付け、パセリを散らして完成。

子どもが食べやすいポイント

 ほっくりと煮えた野菜とチキンがおいしいメニューです。コロコロとしている食材が多く、スプーンにものせやすいのか、子どもたちは食べたいものから狙って口に入れていきます。チキンだったり、大豆だったり、にんじんだったり。

 「これ食べてみよう!」と思える食材があるメニューは、まず一口は口に入れてみようと思えるのでしょうね。具の周りにもれなくついてくるトマトソースの味もおいしいと思えれば、二口、三口と食べ進められます。そこに硬めのにんじんや、かみ切りにくい肉などがあると、口の中に長い時間とどまり、飲み込めないことがあるかもしれません。一口目を食べたあとは、食べやすいかどうかが勝負です。

 園では、野菜そのものの味を引き出すため、よく蒸し煮にします。多層のステンレス鍋を使い、焦げつかない程度の少量の水に野菜を入れ、ふたをして火にかけます。普段あまりトマトを得意としていない子どもも、このメニューは食べることがあるんですよ。

アレンジのヒント

 前回紹介した「納豆そぼろ丼」と同じで、この「チキンビーンズ」も中に入れる野菜やお肉をアレンジできます。これから夏野菜がおいしくなる季節なので、なすやズッキーニ、長細い形のミニトマトなど、いろいろ入れてみて、ぜひご家庭でのお気に入りを見つけてください。

 「鶏もも肉」以外に、豚肉、ひき肉、ベーコン、ウインナーなども合います。サバ缶もいいですね。汁ごと使えば味付けも不要。魚の缶詰は時短メニューの最強素材です。魚を使う場合は、玉ねぎやキャベツを一緒に入れるとおいしさが引き立ちます。

 細長いミニトマトでぜひためしてみてほしいのが「サンマルツァーノリゼルバ」と「シシリアンルージュ」。生でもおいしいのですが、加熱するともっとおいしい!と思える、調理にも適したトマトです。

 缶詰のカットトマトは、サラダとして食べるには熟れすぎてしまったトマトでも代用できます。冷蔵庫に眠っていませんか? トマトジュースで作ると、スープとしても楽しめますね。

 味付けのアレンジとしては、カレー粉やチリペッパーを加えると、大人向けのスパイシーな一品に。酸味が苦手な子の場合は、カットトマトを少なめにし、トマトケチャップの量を増やしてみましょう。砂糖やはちみつを追加するとさらにマイルドな味になります。ただ、1歳未満のお子さんが食べるときは、はちみつの使用は厳禁。食べることによって乳児ボツリヌス症にかかることがありますので、絶対に入れないようにしてください。

管理栄養士・中村えみ子さん

 1969年生まれ。川崎市にある「みんなのほいくえん at むさしこすぎ」の管理栄養士。大学病院などで栄養士として勤務後、子育てを経て、保育園の管理栄養士として復職。素材のよさを最大限に生かしたいと、同僚栄養士が驚くほど丁寧な下ごしらえを心がけている。アレルギーに配慮した給食に力を入れるのは、「みんなで同じものを食べれば、子どももうれしいし、保育士・調理師・栄養士の負担も減るし、食べ間違いのリスクも減らせるから」。