〈保育園給食の人気レシピ〉米粉のバナナケーキ ふわふわ感と優しい甘さで幸せに
原点のレシピ「アレルギーある子も楽しい時間に」
材料(子ども10人分)
- 米粉 130g(1と1/3カップ)
- バナナ 160g(中2本)
- サラダ油 40g(大さじ3強)
- 砂糖 24g(大さじ2と1/2)
- 豆乳 60g(大さじ4)
- レモン汁 16g(大さじ1)
- 重曹 2g(小さじ1/2)
- ベーキングパウダー 3g(小さじ1弱)
※かっこ内は目安です
作り方
1. ココット(小さな耐熱性の器)にアルミカップを入れておく。
2. オーブンを170℃に予熱しておく。
3. バナナはポリ袋かボウルに入れてつぶしておく。
4. ボウルに(3)を入れ、サラダ油、砂糖を入れてよく混ぜる。
5. (4)に豆乳、レモン汁、米粉も加え、さらによく混ぜる。
6. 重曹とベーキングパウダーを加えて混ぜる。
7. ディッシャー(なければ大きめのスプーン二つ)で(1)に入れ、天板にのせる。
8. 予熱が完了したら、表面がきつね色になるまで14分ほど焼き、天板を取り出して冷ましておく。
9. アルミカップを外して盛り付けて完成。特別な日には、クリームとクッキーを添えて。
調理のポイント
園では、お誕生会などの時にはホール型に入れて焼き、大きなケーキをみんなで切り分けて食べることもあります。せっかくのうれしい日なので、卵、小麦、乳アレルギーがある子でも食べられる材料を使って、同じケーキを一緒に食べて祝えるようにしています。
ー(3)でバナナをつぶす時、(4)(5)で混ぜる時の硬さの目安は?
バナナをつぶす硬さは、お好みで。ミキサーを使ってなめらかにしてもOK、小さなバナナの塊をあえて残してもOKです。(4)(5)は、生地をすくって上から落とした時に、リボン状の筋が残る程度の硬さが目安です。
ー材料は順番に入れないといけませんか?
(4)(5)で材料を混ぜる際に、重曹とベーキングパウダーは最後に入れるようにしてください。水分とベーキングパウダー、レモン汁と重曹がそれぞれ合わさると反応して発泡が進みます。この二つを混ぜたら手早く容器に入れ焼いてください。他の材料を入れるタイミングは一緒でもかまいません。
ー米粉を使っていますが、小麦粉と比べるとどんな違いがありますか?
米粉のケーキは小麦粉と違い、よくかき混ぜるのがポイントです。米粉はグルテンが入っていないため、水と混ぜても粘り気が出ることがなく、かき混ぜすぎる心配はありません。ダマになることもほぼなく、水にも溶けやすいです。水で簡単に洗い流すことができるので、後片付けも楽なんですよ。
味はクセがなく、どちらかというとしっとり、もちもちに仕上がります。もちもち感が強すぎない方がお好みの場合は、きな粉やすりごま、片栗粉などを加えると抑えることができます。
ー重曹とベーキングパウダーには違いがありますか?
重曹は生地を横に膨らませる性質があり、焼き上がりの生地は黄色みが強く出てきます。一方、ベーキングパウダーは生地を縦に膨らませる力があります。両方を使用すると縦横にバランスよく膨らみます。
重曹がない場合は、ベーキングパウダーを2倍の量にして入れてください。レモン汁はレモンから直接絞ったものでも、市販のものでもOKです。ない時は酢でも代用できます。香りや酸味が残る心配はほぼありません。
アレンジのヒント
特別な日には、かわいらしいクッキーを添えてあげると、子どもたちのうれしい気持ちもより高まります。うさぎ形のクッキーは米粉とあんで作っています。こちらも卵、小麦、乳アレルギーのあるお子さんでも食べられるメニューです。
あんが入っているため砂糖は加えていませんが、味はお好みで調節してください。生地のまとまりが悪い時は、豆乳を足したり、乳アレルギーがなければ油をバターに変更したりすると固まりやすくなります。
うさぎ形のクッキー(子ども10人分)
- 米粉 60g
- きな粉 20g
- サラダ油 20g
- あん 100g
- (豆乳 10g)
作り方
1. あんは、つぶあんであればミキサーでペースト状にしておく。こしあんはそのまま使う。
2. (1)に油を加えて軟らかくし、米粉ときな粉を加えてひとかたまりになるようによく混ぜ合わせる。(ポロポロしてまとまりにくい時は、豆乳を少しずつ足す)。
3. (2)をポリ袋に入れ、手でつぶして広げ、さらに麺棒などを使ってより平らに延ばす。(延ばしているうちに、ポロポロだった粉とあんもまとまってくる)。
4. (3)を冷蔵庫に入れて20~30分冷やしてから、ポリ袋の端を包丁やハサミでカットして生地を取りだし、好きな型で抜く。
5. 170℃に予熱したオーブンで14分ほど焼く。
連載を終えて 管理栄養士・中村えみ子さん
「今日の給食なにかな」
「まだかな」
と、楽しみに待ってもらえるような給食を作ろうと思ってきました。
子どもたちにとって、待ち遠しくてワクワクする時間になったらいいな、と。
「これはなんだろう?」
「おいしそうだな」
と、つい手を伸ばしたくなるような給食も目指してきました。
そのために、子どもたちが「かむこと」にこだわってきました。かむことにくじけることのないよう、大きさや硬さに気をつけたり、目の前でかむ様子を見せたり、手にとりやすいような形にしたり、あれこれ試行錯誤しながら作っています。
ご家庭でも、ぜひ子どもと一緒に、同じものを食べて感想を言い合ってください。
「おみそしる、あったかいね」
「さつまいもおいしいね」
と、楽しい時間を共有してほしいな、と思います。
私たちの体は食べたものから作られます。
自然の恵みをたくさん吸収した旬の食べ物をいただいて、たくさん動いて、丈夫な体を作って、元気に過ごしていきましょう。
この連載を読んでくださったみなさま、コメントをくださったみなさま、ありがとうございました。毎回調理を担当してくれていた「みんなのほいくえん at めぐろ」の同僚調理師・小寺聖子さんはじめ、仲間に支えられて連載を完了できることを本当にうれしく感じています。1年間ありがとうございました。
1969年生まれ。川崎市にある「みんなのほいくえん at むさしこすぎ」の管理栄養士。大学病院などで栄養士として勤務後、子育てを経て、保育園の管理栄養士として復職。素材のよさを最大限に生かしたいと、同僚栄養士が驚くほど丁寧な下ごしらえを心がけている。アレルギーに配慮した給食に力を入れるのは、「みんなで同じものを食べれば、子どももうれしいし、保育士・調理師・栄養士の負担も減るし、食べ間違いのリスクも減らせるから」。
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