「こども誰でも通園制度」本格実施へ検討会スタート 利用時間の増加なるか 保育士の負担軽減や安全の手引を議論
検討会での主な議題を紹介します。
①2025年度の利用時間
本年度から始まっている試行的事業では、月10時間を補助の上限としています。丸1日の利用なら月1回、1日2時間の利用なら毎週通えるというイメージです。保護者や保育現場などからは、拡大や自治体のニーズに応じて増やせる仕組みを求める声が上がっています。
こども家庭庁担当者は「増やせるといいとは思うが、全国で一斉にスタートする給付制度なので、自治体間で差があるのはどうなのか、検討していきたい」と話しています。
給付制度とは、医療保険料と併せて国民から徴収する子ども・子育て支援金を、子育て世帯に分配することをいいます。
②人員配置や設備運営基準
保育士不足の中、保育士の負担軽減と保育の質の担保を両立するため、委員からは「保育補助者が必要ではないか」などの意見が出ています。基準は、今秋ごろには定める見通しです。
③安定的な運営の確保
主に補助額の設定についてです。試行的事業では、子ども1人あたり1時間850円。そこに保護者が直接施設に支払う平均300円の利用料が加わり、1150円で運営しています。委員からは「園として制度を始めたくても、この金額の低さでは踏み出せない」という現場の声が紹介されました。
④制度を実施する上での指針となる手引の作成
先の通常国会では、安全性の確保に対する懸念が多く指摘されました。制度では、0~2歳児を預かったことのない幼稚園などが参入することも考えられます。こども家庭庁は、年齢ごとの関わり方の留意点や、利用方法の設定の仕方などをまとめる予定です。
⑤利用する子どものデータを管理する総合支援システム
いつでもスムーズに子どもを受け入れられるよう、子どもの情報をデータベース化します。取り扱うのは、アレルギーなどの健康情報や「どんな遊びが楽しそうだったか」という保育中の様子などが考えられます。施設間で共有することになるので、個人情報の取り扱いを考慮し、どれだけの情報を記載するのか、検討します。
システムにより、保育者の事務作業の負担軽減につなげることも目的としています。2025年度にも運用開始を目指し、入札手続き中です。
この検討会でまとまった内容をもとに、各自治体は25年度中に条例で人員配置や設備基準の留意点などを定め、26年度からの全国一斉スタートを目指しています。
コメント