サクッ・もっちり・じゅわっ! 親子で食べたい高級店の味 専門家に聞くバタートーストの焼き方
「安いパンも工夫で変身」 サクサク好きは山形の薄切りを
「安いステーキ肉でも部位や厚み、作る人の腕で味が違うように、安いパンも工夫をすれば変わる」。断言するのは、喫茶店のモーニング文化が根付く名古屋市を拠点に活動するバタートースト評論家、梶田香織さん(49)だ。栄養士の資格を持ち、専門学校卒業後に勤めた大手製パン会社で技術を習得。今はバタートーストのおいしさを広める催しを開いている。
一口に食パンと言っても形は角形、山形と2種類。4枚切り、6枚切りなど厚みもさまざまだ。製造時にふたをして焼く角形は水分が保たれていてもっちり。一方、ふたをしない山形は水分が飛んでいて、トーストにするとさくさくに。かりっとした食感が好きなら薄めを選ぶといい。
厚みの半分まで切り込み トースターは高温・短時間で
梶田さんの理想は「こんがり焼かれた分厚いバタートースト。ほおばるとバターがじゅわっと染みてくる」。小学生の時、伯母が営む喫茶店で食べた思い出の味だ。できればスライスされずに丸ごと1本で売られている食パンを買い、厚さ4.5センチほどに切るといい。ない時は4枚切りでOK。厚みは約3センチだ。
次に、パンの厚みの半分まで、縦横2本ずつ切り込みを入れる=写真<1>。こうすれば、中までしっかり熱が入って美しい焼き色がつき、バターも染みやすい。切り込みは縦横2本が基本だが、「子どもに好きなようにやらせても楽しい」。
加熱は、水分を飛ばしすぎないよう、高温、短時間がポイント。トースターを1~2分ほど予熱してからパンを入れる。大事なのは目が詰まって熱が通りにくいパンの底の部分を奥に向けること。庫内は奥の方が高温になりやすいため、こうすればむらなく焼ける。
好みの焼き色の一歩手前でバターを塗る 無塩がオススメ
好みの焼き色の一歩手前で、いったんパンを取り出す。耳の際までバターを塗り=同<2>、切り込みの間にもバターを落とす。お薦めは無塩バター。「塩味がガツンとこない分、味を探してパンをよくかむ中でうま味や香りを感じられる」。バターは約20グラムを用意。ラップで包み、遊び感覚でもめば軟らかくなって塗りやすい。全部使わず、ある程度残すのがこつだ。
塗り終わったら再度トースターへ。表面のバターがぷつぷつ泡立ち、好みの焼き色になったら出して、残りのバターを塗って完成。砂糖入りのきな粉をかけたり、あんこをのせたり=同<3>、親子でアレンジを楽しもう。パンの形や厚みを変えて食べ比べれば、子どもの味覚も敏感に。「みそ汁にも合うし、大人はおつまみにもなる」。おなかがグーッと鳴りそうだ。