「母の故郷で野球を」夢がかなった 川崎市の少年野球チームがスウェーデン遠征、異文化交流も
6年生6人が渡欧 現地で大会参加
スウェーデン人の母親を持つのは、チームの副主将を務める敦賀メルヴィンさん(12)。父親の一幸さん(43)によると、メルヴィンさんは小学2年のときにプロ野球の試合を観戦し野球に魅せられた。毎年夏にスウェーデンの祖父母を訪ねており、「いつか仲間たちと現地に行って野球がしたい」と夢見ていたという。
6月28日~7月8日、空路の移動を含め計11日間の日程で遠征。現地・カルスクーガで行われた野球大会に参加した。スウェーデンで野球はメジャーなスポーツではないが、全国から6チームが集まり「ペッパーズ」も現地の「HEAT」と合同チームをつくって戦った。現地チームは15歳以下で編成され、体格差はいかんともしがたく、1勝4敗。佐藤在真(あるま)主将(11)は「パワーがすごかった」と目を丸くする。
ただ、同年齢の子どもたちのチームとの練習試合では、基礎力はペッパーズの方が上で「どんな練習をしているのか」などと質問攻めにされたという。現地の子どもたちは硬球を使っており、佐藤さんは「硬球の方が楽しかった」と話した。
いろいろな学び 子どもの財産に
北欧での体験は野球にとどまらず、生活面の違いの刺激も大きかった。現地は白夜。メルヴィンさんの祖父母の別荘の裏庭に広がる湖でボートなどで遊んだ体験は、子どもたちの心に深く刻まれた。
もう一人の副主将増永啓人さん(12)は「めちゃくちゃ楽しかった。言葉は通じなかったけど、食べ物もおいしかった」と笑顔。尾崎真太郎さん(12)も「湖で鬼ごっこをしたりボートに乗ったり楽しかった。また行きたい」と声を弾ませた。
一幸さんは「言葉や文化、習慣、野球のプレースタイルなどいろいろなことを学んでもらえた。子どもたちの財産となり、将来必ず役立つと思う。6人の絆も深まり、より強いチームになると期待している」と遠征の意義を強調。メルヴィンさんは「ずっとみんなを連れていきたいと思っていた。実現できて良かった」と話していた。