知育おもちゃのサブスク「Cha Cha Cha」が人気 保育士が目利き、最短2カ月で交換OK

原田晋也 (2023年3月23日付 東京新聞朝刊)

知育玩具のサブスクサービスを手掛ける「自立の株式会社」の川崎孝介社長=千葉県で

 千葉県習志野市の「自立の株式会社」は障害者の就労支援事業の傍ら、月ごとの定額料金で、乳幼児用の知育玩具を好きなだけ使えるサブスクリプション(サブスク)サービスで注目を集めている。知的発達を促す知育玩具は、対象月齢が細かく区分され、使える時期が短いのが難点。このサービスは子どもの成長や興味に応じ、玩具を最短2カ月で交換でき、子育て家庭の強い味方となっている。

「子どもが気に入らないかも」を解決

 娯楽性の高い一般のおもちゃに対し、知育玩具は想像力などを育む効果が期待できる。一方で、遊ぶ際には頭を使うため「子どもが気に入るか分からない」と購入を控える傾向もある。

 着想のきっかけは、同社が運営する障害児の放課後デイサービスで、楽しそうに知育玩具で遊ぶ子どもの笑顔だった。川崎孝介社長(33)は「保育士が選んだ玩具は、子どももよく遊ぶ。この目利き力を生かせないか」と考えた。さらに「何度も使って循環させれば、ごみ削減にもなる」と、サブスクの活用を決めた。

 サービス名は「Cha Cha Cha(チャチャチャ)」。2021年に始めた。当初、契約は年約500件と見込んだが、コロナ禍のステイホームなどで現在は3800件に増えた。メーカーから仕入れた約700種類の玩具から、保護者への聞き取りを基に、保育士が選んだ6、7点を届ける。破損や部品の紛失も弁済は不要だ。「簡単な故障なら修理できる体制も整えた」。0~6歳向けの基本プランは月額3630円。

 「今は何でもシェアする時代」と川崎さん。年内には、家庭に眠る知育玩具を買い取り、サブスクに活用する事業も始める予定だ。

 戻ってきた玩具の清掃と消毒は就労支援事業として、雇用する障害者約40人が担う。「あらゆる世代の一人一人が自立した生活ができるように」。ユニークな社名も含め、社会課題解決に向けた川崎さんの思いが反映されている。

 自立の株式会社は、「2022年度しんきん優良企業」の富国生命新興企業賞に選ばれました。

「自立の株式会社」企業データ

  • 従業員数=88人
  • 売上高=3億円
  • 創業=2014年
  • 所在地=千葉県習志野市
  • 社長のひと言=現場には現場のやり方があるので、一切口出しはしない。経営の大きな判断は現場の意見を吸い上げて自分が決める。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年3月23日