災害時にスマホのバッテリーを節約するには? 最も消費するのは液晶画面 ギリギリまで暗く、通知はなるべくオフ

(2022年5月12日付 東京新聞朝刊)

 災害で停電が発生すると、電源の確保が難しくなる。家族や仲間との連絡や、情報収集のために大事にしたいのがスマートフォンのバッテリーだ。できるだけ長持ちさせる節電術を、ITジャーナリストの三上洋さんに聞いた。

省電力ON 画面ロックの時間は最短に

 「災害時、まずはスマホの使用頻度を少なくする。特に動画やゲームはバッテリーをかなり消費するので使わないように」と三上さん。その上で、少しでもバッテリーを長持ちさせるため、省電力機能をオンにする。端末の動作速度が遅くなり、消費電力を節約できる。

 スマホで最もバッテリーを使うのが液晶画面だ。「文字が読めるギリギリまで暗くしましょう」。アプリの通知は、安否情報などが流れてくるLINEなどのSNS以外は切っておきたい。オンの状態だと、通知が届くたびに画面が点灯してバッテリーを消耗するからだ。画面が自動的に暗くなる「画面ロック」までの設定時間を最短にしておけば点灯時間を抑えられる。

圏外なら電源オフ 機内モードも活用

 停電などにより、スマホの電波を出す基地局が停止し、通話や通信ができなくなることもある。三上さんは、画面上に「圏外」と表示されたら電源を切るように勧める。圏外になると、スマホが電波を探し続けて大きな電力を使うからだ。

 「避難所などで無料Wi-Fiが提供されたら、電波をカットする『機内モード』をオンにしてWi-Fiに接続する。電力を余計に使わず、バッテリーを節約しながら通信できる」

モバイルバッテリーは週1回の充電を

 平時から予備電源を確保しておくことも大切だ。

 スマホを2、3回フル充電できる容量のモバイルバッテリーがあると心強い。使われているリチウムイオンバッテリーは自然に放電しているので、週に1回は充電するといい。自家用車内でスマホやUSB機器を充電できるシガープラグなども準備しておきたい。

◆災害用伝言ダイヤル「171」の使い方は

 災害が発生した直後は、電話がつながりにくくなる。災害用伝言ダイヤル(171)を使えば、家族や友人らの安否確認ができ、スマホのバッテリーを無駄に使わなくても済む。

 ダイヤルは、大規模災害時にNTTグループが開設。被災地の人の加入電話や携帯電話などの番号を登録すると、利用者が互いに伝言を録音したり、それを聞いたりすることができる。使用は無料で、録音は1番号当たり20件まで可能だ。

 登録する電話番号は、家族や仲間、同僚などで事前に決めておくといい。毎月1、15日などに体験利用できるので、使いこなせるように練習しておきたい。

 スマホやパソコンなどから文字入力するインターネット版の「災害用伝言板(web171)」とも連携。ダイヤルで録音した伝言がネット版で聞けたり、ネット版の入力内容が音声に変換されてダイヤルで再生できたりする。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月12日