台風19号 子連れ避難した人に聞く「これがあると便利」 ポイントは”袋”…どんなタイプがいい?

長壁綾子、細川暁子
子育て世代がつながる
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身に着けたまま眠れる軽いポシェットに貴重品やスマホを入れておくといい

 記録的な大雨で甚大な被害をもたらした台風19号。小さな子どもがいる家庭では、不安も大きかったのではないでしょうか。避難を判断するための情報収集は? いざ避難するときに何を持っていったらいいの? 今回子連れなどで避難した人たちの体験を聞き、ポイントを整理しました。

夕飯と風呂をいつも通り済ませてから

 東京都西東京市の女性(28)は、群馬県安中市の実家に長女(5つ)と長男(3つ)を連れて帰省中に台風に直撃された。夫が夜勤のため不在で、「とにかく心細かった」と振り返る。風雨が強まった12日の夕方、スマホに送られてきた安中市の防災エリアメールは、危険度が2番目に高い「レベル4」の避難指示だった。近くに川があり「氾濫したり、裏手の山が土砂崩れしたりするかもしれない」。そう判断して、避難を決めた。

 午後7時ごろ、子どもと一緒に車で避難所の小学校に移動。子どもには実家で早めに夕ご飯を食べさせ、風呂も入れておいた。「なるべく普段と同じようにすることで、安心できるかなと思って」

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温かい見守りと笑顔に救われたけど…

 避難所には、子どもがおなかをすかせたときにすぐに食べられるよう、おにぎりやふかし芋、小さく切ったリンゴも持っていった。退屈させないよう遊び道具は必要だと思ったが、周囲に迷惑にならないよう音の出るおもちゃは避け、折り紙、落書き帳などを用意した。日ごろから持ち歩いているマザーバッグに入れていたポリ袋も、ぬれたものやごみなどを入れることができ、便利だったという。

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袋にタオルなどを詰めてクッション代わりにすると良かったとの声も

 子連れ避難で緊張を強いられる中、救いだったのは、子どもたちが体育館で走り回っても周囲の人が怒らず、笑顔で話し掛けてくれたことだ。寝る前には、家から持っていった毛布に子どもたちをくるんで絵本を読み聞かせた。すぐに眠りについてくれた。「今回は避難所にいたのが自分たちも含め3家族だけで、温かく受け入れてもらえたが、多くの人がごった返している避難所だったらこうはいかなかったかも。子ども向けのスペースなどがあれば、騒がしくてもお互いさまで気兼ねなく過ごせると思う」と話す。

スマホのモバイルバッテリーは必需品

 川崎市の女性(31)も、夫(31)と1歳の長男で、自宅から徒歩10分の小学校に避難した。12日午前10時半にはすでに避難勧告が出ていた。自宅で昼食をとった後、午後1時ごろ小学校へ。最初は1階の体育館に入ったが、浸水の可能性があるとして、2階の教室に移った。教室にあったテレビも見ることができたが、夫婦でツイッターやポータルサイトの防災情報をこまめにチェック。「情報を得たり、連絡を取ったりするのにスマホの電池はどうしても減る。モバイルバッテリーを用意していって良かった」と振り返る。

 いつもと違う環境で長男は夜泣きした。空きスペースで長時間あやさなくてはいけないとき、抱っこひもは必須だ。常温で食べられるレトルトの離乳食なども用意した。「避難が長引くことも考えて、綿棒や爪切りなども持っていったほうが良かった」と話す。

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折り紙や絵本、着替えなどもチャック付きの袋に入れると良い

使い道いろいろ チャック付きが活躍

 今回、強い雨の中を避難した人たちが口をそろえて「便利だった」と言うのが、チャック付きで中身がすぐ分かり開閉も楽な透明のプラスチック袋だ。移動の間にリュックの中身が雨でびしょびしょになってしまった人もおり、荷物は水から守るためすべてビニール袋などに小分けしておくと良い。電源を分け合えるコンセントの延長コードや、ラジオやスマホ用のイヤホンなどもこうした袋に入れておけば安心だ。安中市で避難した女性は、絵本や折り紙などを入れていったという。

 避難所は学校の体育館などで床が硬いことも多い。中学校に避難した東京都葛飾区で避難した女性(31)は「大きめのタオルやフリース素材の防寒着は背中の下に敷いたり、寝るときに枕代わりになったりして便利」とアドバイスする。登山などの際に荷物を小分けする袋があると、タオルや防寒着を詰めてクッションのようにも使える。また、軽い素材でできたポシェットに貴重品や停電時にすぐ取り出せるようヘッドライトなども入れておくと、身に着けたまま眠ることができて便利だったという。

「避難所に行く」だけが避難ではない

 幼い子を抱える家庭では、災害時の避難をいつ決断するのかも重要だ。気象庁は避難のタイミングを分かりやすくするため、今年5月から5段階の「警戒レベル」とともに、とるべき行動を呼び掛ける情報発信の運用を始めている。防災対策に詳しい認定NPO法人レスキューストックヤード(名古屋市)によると、警戒レベル3は避難の準備、レベル4になれば全員避難するというのが基本だ。ただ避難に時間がかかったり手助けが必要な子どもや高齢者、障害のある人などがいる場合は、レベル3で避難するのが望ましい。

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 一方で、徒歩での避難は暴風で物が飛んで来たり、水があふれ出してマンホールや側溝のフタがあいていて転落する危険性がある。車での移動も、道路が数十センチ冠水していればエンストを起こし車内に閉じ込められる恐れも。同NPOの松山文紀さんは「避難所に行くことだけが避難ではない。ハザードマップで浸水の恐れが少ない場合など、小さい子どもを連れて避難するよりも、家の2階に上がるなど在宅で備える方が安全なこともある」と指摘。「日ごろからハザードマップなどで自宅の環境を把握し、台風が近づいたら気象情報をしっかりチェックして」と助言する。

自ら考えて動く「アクティブ防災」を訴える東京都のNPO法人「ママプラグ」理事、宮丸みゆきさん(44)の話 

 台風は事前に準備でき、持っていくものを選ぶことができる。ただ前日に慌てるのではなく、普段から準備を。どんな災害でも、避難所に持っていくものは基本的には同じ。だが季節や子どもの成長に即して更新することが必要。普段づかいのバッグに、おむつや乾電池などを使いながら更新していくローリングストック(循環備蓄)をすれば、こまめに入れ替えられる。また避難所は自治体によっても備えが違う。自分に絶対に必要なものを持っていくことが大切だ。

【2019年11月22日 追記】子連れ避難に詳しい「ママプラグ」理事の宮丸みゆきさんのコメントを追記しました。

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