保育士から苦悩の声が続々「政策を決める人たちは現場で1週間でも実習したら?」 配置基準と処遇の改善を
「13人中9人が出勤せず」に反響
人員不足などで園長への不満が爆発し、保育士13人中9人が出勤せずに一時休園した東京都内の保育園のニュースを先月、公開しました。記事のコメント欄には、同じような状況に苦悩する保育関係者からの投稿が相次いでいます。
「質のいい保育なんてできるわけない」
「もうパートだらけで、つぎはぎだらけですよ。毎日違う保育士が入って保育するのに、質のいい保育なんてできるわけない」。40代の保育士は、けがをさせずに過ごさせるだけで精いっぱいで、自主性や自己肯定感を育てる保育とはほど遠い現状を訴えます。
50代の園長は保育士の配置基準について「0歳3人に対し保育士1人、1歳なら保育士1人で6人。ほんとにこの数字で現場は回っていきますか? 家庭保育でこの人数を安全に豊かに保育することは可能ですか?」と憤りを込めて問いかけます。園長は、このギリギリの配置基準が、有資格でも保育の仕事に就かない潜在保育士を増やしていると指摘します。
配置基準の改善は長年、保育政策の大きな課題です。しかし、政府が3月末に発表した「異次元の少子化対策」のたたき台に盛り込まれたのは、人手を増やすための運営費の加算だけで、基準自体の見直しは先送りされています。
0歳児保育は「戦場」 早く処遇改善を
昨年度キャリアアップ研修を受けたという冒頭とは別の40代女性保育士は、「研修で『一人ひとりの安心と、安全を保障する保育』について学びました。多様化する保育ニーズの中、子どもとの向き合い方、関わり方など、こうするべき、こうあるべきと分かっていても、理想と現実はかけ離れています。毎日ギリギリの中、余裕を持って向き合い続けるのは難しいのが現実です」とつづり、0歳児保育の日常を「戦場」にたとえます。
「0歳児は食事も着替えも全てにおいて介助が必要不可欠で、待てません。例えば食事なら、配膳前に検食、その間におむつ替え、エプロンや口拭き、雑巾の準備、子どもを1人ずつ椅子に座らせ、手を拭き、エプロンを付け。子どもが待てず泣いたりで催促されながら、給食室からワゴンを運び、1人ずつお盆に乗ったラップだらけの食器を外し提供。その前に食後のミルクつくり、寝床の準備があり、食後はミルク提供やおむつ替えや着替え、寝かしつけ。まとまって寝ない子どもが多く、また、5分おきのブレスチェックもあり、更に掃除、玩具拭きもあり、ものすごく戦場です」
「保護者や子どもへの優遇策の前に、土台である保育園の配置人数や保育士の処遇の改善をただちにするべきだ」と訴えるこの保育士は、こう提案します。「政策のかじ取りをする人たちは、現場に1週間ほど実習に入ってみてはいかが。現在の配置人数がいかに大変か、どれだけ保育士が犠牲になっているかわかるはずです」
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