ウクライナから避難した子どもたちの絵画展 心の中のふるさとを鮮やかに 30日まで中野で
「ウクライナからの贈りもの」
日本チェルノブイリ連帯基金は長野県松本市に拠点を置き、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故被災地や、イラク戦争後の同国内などで医療を中心に支援を続けて32年になる。昨年2月のウクライナへのロシア軍侵攻にもスタッフは胸を痛め、戦火の拡大とともに膨れ上がる避難民への支援の道を探った。
つてを頼りに、3カ所の避難先が分かった。一つはウクライナ西部の都市ウジホロドにあるカトリック教会。イラクでの支援活動に協力したクリスチャンの小児科医師を通じて関係を築いた。チェルノブイリ被災地支援の元現地コーディネーターが住んでいたブルガリアの都市バルナにも、避難民がいた。もう一カ所、ポーランドの古都クラクフはスタッフの知り合いの日本人画家がいた縁で支援につながった。
基金は寄付を募り、昨年3月初旬にはウクライナに送金。その後も寄付金を送り、食料や、せっけんなどの生活用品に充てられた。避難が長引くにつれ、洗濯機の購入、トイレ、キッチンなどの整備にも役立てられた。これまでに日本全国から寄せられた寄付金は約8000万円。周辺国政府による支援には陰りが見え、戦後を見据えた長期の支援も念頭に置いている。
おびえて泣き出す子どもたち
現地とオンラインで話をすると、避難した子どもたちがおびえて雷の音に泣き出す時もあるという。絵を描いたり粘土工作をしたりキャンプをしたり、とリラックスする時間が必要で、寄付金の一部は子どもたちの画材にも使われた。
そんな中、バルナに避難した子どもたちの描いたアクリル画が基金に送られてきたのは、昨年11月下旬のことだった。青と黄の2色のハートを抱えた夢見るような少女や、天使たち、鳥の目から見た街…。
「彩りが鮮やかで構図もしっかりした質の高い絵です。厳しい避難生活を送りながら、子どもたちの心の中には、こんなふるさとがあるんだと思いました」と基金事務局長の神谷さだ子さん(70)。「多くの人に絵を見てほしい。大人は子どもたちの未来を奪ってはいけない。一刻も早い停戦を願います」と話す。
首都圏で初開催となる今回の絵画展は、3カ所の避難先で暮らす5~17歳の子どもたちが描いた約50点が展示される。
中野区東中野のポレポレ坐ビル7階「ありかホール」で30日まで。午前11時~午後7時。入場無料。