「坂本美雨さんの子育て日記」が書籍化 デビュー25周年記念「かぞくのうた」もリリース ”家族”に向き合い見えたもの

(2022年6月7日付 東京新聞朝刊)

25周年記念シングル「かぞくのうた」をリリースした坂本美雨さん=東京都港区で(稲岡悟撮影)

 今年デビュー25周年を迎えたミュージシャンの坂本美雨さん(42)。記念シングル「かぞくのうた(feat.Hiroko Sebu)」をリリースし、6月下旬には東京新聞生活面と東京すくすくで連載中の「子育て日記」に書き下ろしを加えたエッセイを出版する。節目の年に「家族」をテーマにした2つの作品を送り出す思いを聞いた。 

どんな国、年代の人にも共通する思いが

 「かぞくのうた」は2018年に配信限定でリリース。自ら書いた詞は、大切な人と笑い合い、優しい時を過ごす幸せをシンプルな言葉でつづった。

 「ライブで涙ぐむ人もいて、響いている、という手応えがあった。どんな国、どんな年代の人でもきっと共通する思いってあるんだろうな、と」。節目の年を記念する曲として再録音。弦楽を用いた広がりのある編曲は、映画音楽作曲家の世武裕子(せぶひろこ)が担当した。

父は坂本龍一 母は矢野顕子 家族とは

 両親は坂本龍一、矢野顕子という日本を代表するミュージシャン。1997年、「Sister M」名義で、父の曲「The Other Side of Love」でデビューし、以来、透明感のある歌声で幅広い層を魅了してきた。

 2015年7月に長女を出産。今まで以上に日常と音楽活動の境目がなくなり「生活が音楽に反映されるようになった。娘を産み、3世代の真ん中になってみて感じたこともあり、家族について改めて書いてみようと思った」。自分にとっての親子関係、周囲の親しい人たちの親子関係などを見て感じたこと-親子でもそれぞれの道や生き方があり、分かり合えないこともあるという自身が感じた家族観も、「かぞくのうた」には反映させた。

「かぞくのうた(feat. Hiroko Sebu)」のジャケット

 「25年の間に、誰かを元気づけたり、役に立ったりすることが表現する意味と考えるように変わった。『かぞくのうた』は普遍的な内容で懐の大きい曲。長く歌い継いでいく1曲になったら」と願う。

伝えたい「身の回りの縁で子育てを」

 子育てをして感じたことは他にもある。

 「子どもは自分の分身、という言葉も聞くが、まったくそうは思えなくって。でも都合よくコントロールしたい場面が出てきて、それを戒めながらの子育てです」。そんな日常を記した著書「ただ、一緒に生きている」(光文社)には両親との思い出もつづる。

家族への思いについて語る坂本美雨さん(稲岡悟撮影)

 「感情を直接出すより、その場をどう穏やかにするかを考える子だった」という子ども時代。両親がそうしたように、自身も娘を仕事場に連れていき、音楽に触れさせ、さまざまな職業や生き方の大人の中での子育てを実践している。

 育児と仕事の両立のためである。が、孤立した子育てに苦しむ親が増える中で、「身の回りで縁をつくり、みんなで育てよう」というメッセージを伝えたい思いもあるという。