「11人の優しいお兄さん」が子どもを支援! 荒川区でボランティア活動
中村真暁 (2018年7月24日 東京新聞朝刊)
20~40代の男性が中心のボランティア団体「バイタル・プロジェクト」が2018年春に発足し、荒川区で活動を始めた。ユーチューバーやフラワーアレンジメントの先生、法律事務所の秘書ら、多様な11人がメンバー。孤立しがちな生活困窮家庭、ひとり親、不登校などの子どもたちの「伴走者」となっている。
「お兄さんたち、すごく優しい」
7月上旬の夕方、飲食店の「吉(き)まぐれ屋」(南千住一)に、小学生や母親らが集まった。週1回、5月からオープンしている子どもの居場所。児童らは夕食のカレーライスを食べ終わると、メンバーと相撲を取ったり、勉強したり。笑い声があちこちから聞こえる。小学6年生の男子(11)は「こんなお兄さんたちと会ったのは初めて。みんなすごく優しい」と笑顔を見せた。
理事長はYouTuber
バイタル・プロジェクトは、吉まぐれ屋のコンサル事業をする檜沢大海(ひざわひろうみ)さん(33)、その知人のユーチューバーで理事長の向(むこう)祐哉さん(28)、副理事長の秋田博さん(46)らが中心。秋田さんはシングルマザーの家庭に育ち、ひもじい思いもしたが、近所の人に声をかけられ、ごちそうになったという。商店街で泣く子どもに誰も声をかけない最近の風潮を感じ、「昔の自分のような立場の子たちを支えたい」と居場所づくりを構想。2人や他のメンバーが賛同し、団体を設立した。
荒川区社会福祉協議会によると、区内の子ども食堂や居場所の担い手は中高年が多く、若い男性が中心なのは初。視察したスクールソーシャルワーカーの鈴木洋子さん(46)は「若者だと話しやすい子どもも多い。多様な居場所が増え、受け皿が広がる」と期待した。
居場所(月曜午後4~8時。食事代は子ども100円、大人300円)のほか、秋からは学童保育での運動指導や中学校、高校の運動部への指導員派遣などをしていく。秋田さんは「子どもたちに未来への道しるべを示したい」と意欲を語る。
「あらかわ子ども応援ネットワーク」の「バイタル・プロジェクト」紹介ページはこちら。