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子どもの貧困対策「数値目標」を一転して削除 超党派議連の法改正案、原案から後退

上坂修子 (2019年4月26日付 東京新聞朝刊)
 親から子どもへの「貧困の連鎖」を断ち切るための「子どもの貧困対策推進法」の見直しを検討している、超党派の「子どもの貧困対策推進議連」は25日、法改正案を大筋でまとめた。焦点となっていた、子どもの貧困率などを改善する数値目標の設定については、原案段階では明記されていたが、一転して削除することが決まった。

7人に1人が貧困状態なのに…目標設定せず 

 議連は、調整が済んでいない項目を含めて、今後の対応を自民党の田村憲久会長(元厚生労働相)に一任。今国会への改正案の提出、成立を目指す。改正法が成立すれば、政府は年度内に「子どもの貧困対策大綱」を閣議決定する方針だ。

 子どもの貧困率は、平均的な年間可処分所得の半分を下回る世帯で暮らす、18歳未満の子どもの割合。最新データの2015年は13.9%で、7人に1人が貧困状態にある。

 現行法は、子どもの貧困率について「改善に向けた施策」を大綱で示すよう定めているだけで、貧困率を何%まで改善するかという数値目標の設定まで求めていない。当事者や支援団体の声を受け、今回の改正論議では、子どもの貧困率や、ひとり親世帯の貧困率、生活保護世帯の子どもの高校進学率などの改善目標を大綱で明示するよう、原案で定めていた。

都道府県の計画も「義務」から「努力義務」に

 この日の会合では、子どもの貧困率は可処分所得だけを基に算出することから、数値目標としてふさわしいのかという疑問が出され、意見交換した結果、見送りが決まった。法律で数値目標を示すと明記しなければ、政府が大綱に盛り込む義務はなくなる。

 原案では、子どもの貧困対策に関する計画の策定・公表を都道府県に義務付けていたが、努力義務にとどめることでも会合で一致した。

 推進法は、14年1月の施行から5年後に見直すことになっており、議連が昨年12月から議論していた。

〈解説〉予算がかかることは認めないのか 未来のために再考すべき

 原案から削除されることになった子どもの貧困率改善の数値目標は、貧困世帯の当事者や支援団体が最重要課題として導入を求めてきた。関係者の落胆は大きい。

 数値目標の設定は、子どもの貧困率を改善できる十分な予算を、政府に組ませることに直結する。ある野党議員は「数値目標を入れなければ法改正に意味はない」と言い切る。

 2013年に推進法が成立した際も、この論争があり、自民党は予算がかかることから頑として認めなかった。改正案を巡る今回の協議で、野党からは「今回、入らなければ今後も入らない。ラストチャンス」との声が出ていた。

 子どもの貧困対策を含む全世代型社会保障は、安倍政権の看板政策のはずだ。安倍晋三首相(自民党総裁)は1月の施政方針演説で「家庭の経済事情にかかわらず、子どもたちの誰もが、自らの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる社会を創る」と宣言している。

 本気でそう思うなら、今回の結論は再考すべきだ。国会審議で改正案はいくらでも修正できる。政府が大綱を策定する段階で、数値目標を盛り込むこともできる。経済的に困窮する家庭の子どもたちの未来のため、英断が求められる。 

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年4月26日