コロナ禍で「先生や大人に話し掛けにくくなった」 子どもへの影響調査、最新報告で”衝撃”
「リストカットしてしまう」との声も
成育医療研究センターは昨年4月から2、3カ月に1回、インターネットを通じて「コロナ×こどもアンケート」調査を実施。最新の5回目は第4波前の2~3月に行い、小学生から高校生まで501人と、高校生以下の子の保護者2690人から回答があった。
1年間、継続して調査したのは心と体の健康。それぞれ「元気いっぱいだった?」「楽しかったし、たくさん笑った?」など過去1週間の状態を質問して評価した。回答者は毎回異なるため単純には比較できないが、昨年5月の調査時と比べて、体の健康は小、中、高校生の全年齢群で6~16ポイントほど低下し、心の健康も中、高校生群でやや低くなった。また、子どもの15%が、髪の毛を抜く、自分をたたくなど「自分の体を傷つける」と答えた。
調査の中心となった同センターの小児科医、半谷(はんがい)まゆみさん(35)は、4月以降、東京や愛知など10都道府県に緊急事態宣言が出たことなどにより、「さらに状況が悪くなっている可能性がある」と指摘。自由記載には「何とかしたいけど何ともならずリストカットしてしまう」との声もあり、「親や先生など誰かに話すことで冷静になれる。他の手段でストレスを解消できることを知ってほしい」と訴える。
大人が意識してコミュニケーションを
一方で、半谷さんが衝撃を受けたのが、半数の子どもが「先生や大人への話し掛けやすさがコロナの影響で減った」と答えたことだった。これまで「つらいときはSOSを発信して」と繰り返してきたが、そもそも発信しにくい現状があることが分かった。
半谷さんは「コロナ禍で大人に余裕がなく、子どもが話し掛けたり相談したりすることを遠慮している。マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保も求められ、声を掛けにくいこともあるのでは」と分析。「たわいもないことでいいので、大人が意識して子どもとコミュニケーションの時間を取って」と強調する。
みんなはどうやってストレス解消しているの?
「どうやってみんながストレスを解消しているか知りたい」。そんな子どもたちの声を受けて、第5回アンケートでは、ストレスを感じたとき、どんなことをして気持ちを楽にしているかを自由回答で聞いた。絵を描いたり、音楽を聴いたり、好きな事に打ち込んだり。「コロナ×こども本部」のホームページでは、回答の一部を「こどもが考えた気持ちを楽にする23のくふう」としてまとめ紹介している。半谷さんは「親子で一緒に見て、興味を引かれたものを試してみて」と呼び掛ける。
子どもたちが回答した、その他の工夫
- クッションに向かって叫ぶ(中1女子)
- ゲームのマインクラフトをやる(小2女子)
- ストレッチする(小4女子)
- ライブや握手会の時など「推し」のことを考える(小5女子)
- ヨガや瞑想をする(高1女子)
- 泣いて発散する(中1女子)
- 歯を見せて笑う表情をつくる(中1女子)
- 空を見る(小5男子)
- 自然の音を聞く(小2男子)