コロナ第3波が子どもにストレス 「気持ちと向き合う練習」「早起きの生活リズム」でケアしよう

長田真由美 (2020年12月11日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルス感染の「第3波」が到来し、子どもたちの心と体へのさらなる悪影響が心配される。クリスマスやお正月などイベントが多い冬休みも、思うような外出はできそうにない。子どもが不安やストレスをためず、心身の健康を保つこつを専門家に聞いた。 

図解 落ち着くためのアンガーマネジメントテクニック

「今どんな気持ち?」と聞いてみる

 「すぐにイライラする」「最近、集中できない」-。国立成育医療研究センター(東京)が9~10月、全国の小学1年生から高校3年生まで約2000人に聞いたアンケートでは、7割余りがコロナ禍によって何らかのストレスを感じていると答えた。

 イライラしたとき、どうしたらいいか。怒りの感情をコントロールする「アンガーマネジメント」コンサルタントの窪田ゆりさん=岐阜県池田町=は「子どもが自分の気持ちに気付けるようにしたい」と話す。「悲しい」「寂しい」などの嫌な気持ちがたまると、怒りにつながる。「怒りのもとになる感情を知ることで対処法が分かる」と窪田さん。まずは子どもがイライラしていたら、保護者らが「今どんな気持ち?」などと聞き、気持ちと向き合う練習をすることを勧める。

 窪田さんら指導者を養成、認定している一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)は、気持ちを落ち着かせる方法として「深呼吸を3回する」「数字を6まで数える」「自分が落ち着く言葉をとなえる」などを紹介している。スッキリするために、ストレッチでリラックスしたり、工作やお絵描きに集中したりするのもいいようだ。

生活リズムが乱れると、自律神経も

 「自粛期間中、ストレスで鬱々(うつうつ)としたという親子の多くが、生活リズムが乱れていた」と言うのは、子どもの脳の発達に詳しい文教大教授で小児科医の成田奈緒子さん(57)。生活リズムとともに自律神経が乱れたことが、心身の不調の一因になっていると指摘する。

 自律神経は、身の回りの環境や状況に合わせて、自動的に体を調整する重要な神経だ。交感神経と副交感神経に分かれ、例えば、心臓の動きを活発にするのは交感神経、落ち着かせるのは副交感神経というように、それぞれ反対の働きをしている。この働きが悪くなると、朝スッキリ起きられない、夜中に目が覚めるなどの不調が出る。

 「規則正しい生活を送ることで自律神経が整い、気持ちも落ち着く。十分な睡眠時間を取り、朝早く起きることが重要」と成田さん。「学校に行くと交感神経が働いて緊張し、腸の動きがストップする。排便してから登校できるよう、家を出る1時間半前には自分で起きられるようにしよう」と呼び掛ける。

 自律神経は「乳幼児期に鍛えると一生、働きが良くなるが、何歳からでも鍛え直すことができる」と言う。早起きして昼間に体を動かし、脳を活動させることで夜に自然と眠くなる生活リズムづくりに努めたい。

 新型コロナでは、子どものインターネットやゲームに費やす時間も問題に。怒りっぽくなるなど負の影響も指摘されています。【「ネットやゲームのしすぎ」と「子どものイライラ」の関連性 自分から変わるため、保護者は何ができるか】の記事では、専門家による保護者へのアドバイスを掲載しています。

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