コロナ禍の子ども、7割にストレス「イライラする」「先生が怖い」…いじめや不登校のケアが必要

(2020年9月1日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスに対する子どもたちの意識について、国立成育医療研究センターが6~7月に調査したところ、3割の子が自分や家族が感染した場合に秘密にしたいと感じ、7割が何らかのストレスを抱えていることが分かった。コロナ感染者への偏見やストレスはいじめにつながる恐れがあり、特に夏休み明けのこの時期は自殺リスクも高まることから、専門家は注意を呼びかけている。

図解 コロナに対する子どもたちのストレス反応

成育医療研の調査 32%が「感染したら秘密にしたい」

 コロナが子どもに与える影響を調べるため、同センターは4月から、2カ月に1回程度の予定で「コロナ×こどもアンケート」を実施。2度目となる今回は、コロナ禍のいじめなどにも着目し、インターネット上で質問した。対象は7~17歳の子どもと17歳以下の保護者で、子ども981人、保護者5791人から回答があった。

 それによると、「自分や家族がコロナになったら秘密にしたい」と答えた子は32%。「コロナになった人とはコロナが治ってもつきあうのをためらう(あまり一緒には遊びたくない)」と考える子も22%おり、年代別では小学校低学年が32%と最多だった。

 調査を行った同センターの小児科医、半谷まゆみさん(34)は「小さい子ほどコロナについて正しく理解するのが難しい」と説明。偏見はいじめの原因になる恐れがあり「感染したら仲間外れにされると心配し、ビクビクして過ごしているのではないか」と思いやる。「感染する可能性は誰にでもある。治療を受け、隔離期間を経れば他人にうつすことはないと家でも学校でも教えてほしい」と話す。

高校生の3割超「すぐイライラ」 マスクで見えない表情

 さらに72%の子が何らかのストレスを抱えていることも分かった。特に高校生で多く、「すぐイライラする」と答えた割合が3割を超えたほか、「最近集中できない」も6割近くに上った。「自分の体を傷つけたり、家族やペットに暴力をふるったりしたことがある」と答えた高校生も1割。半谷さんは、一斉休校による勉強の遅れや進学・進路への不安、学校行事の減少などに子どもたちが不安や不満を募らせている可能性を指摘する。小学校低学年の自由記述にも「先生が怖い。友達と遊ぶと怒られる」「マスクで先生が誰か分からなくて話も聞こえづらい。質問したくても、近づいてはいけないのかと思い、理解できないままになる」などと学校での息苦しさを訴える声が目についた。

 今回の調査は、一斉休校期間が明けた後に実施されたが、学校再開後も子どもたちの心は新しい生活の中で影響を受けていることが浮き彫りになった。「子どものストレスは大人が思う以上に高い」と半谷さん。「マスクは表情が見えにくく互いの変化に気付きにくい。その分、子どもたちの声にしっかり耳を傾けてほしい」と話す。

夏休み明け、学校に行きたくないとき…親は「無理しなくていい」と伝えよう

 内閣府などの統計では、夏休みが明ける9月1日前後は18歳以下の子どもの自殺者数が多い。特に今年は、夏休みの短縮や、1日の授業時間数増加など過密スケジュールで負担が増しており、注意が必要だ。

 岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター発達精神医学研究所顧問で、児童精神科医の高岡健さん(67)は「子どもの自殺は行き場がなくなった末の行動」と指摘。「命を守るためにも、学校に行きたがらない場合は休ませて」と話す

 高岡さんによると、不登校の子に多い特徴は、朝起きられないこと。学校に行きたくない理由をはっきり説明できたり、頭痛や腹痛など体の不調を訴え続けたりする子は少ない。そうした中で無理に登校させる、行けない理由を聞きだそうと質問攻めにするといった働きかけは逆効果という。「学校は感染予防対策でピリピリしている。家にいれば安心と感じられるよう、親が『無理しなくていい』と言い聞かせることが大事」と話す。

 [元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年9月1日

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