コロナ禍の子育て「この1年大変だったよね」記者座談会 一斉休校で憔悴、テレワークに翻弄…孤立する親子に目を配りたい

子育て世代がつながる
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コロナ禍での子育てについて話す(左端から)加藤健太記者、奥野斐記者、中村真暁記者

 東京などで3度目の緊急事態宣言が出される中、迎えた大型連休。この1年間、「東京すくすく」に関わる記者たちも、新型コロナウイルス禍での子育てやテレワークに悩みながら日々を過ごしてきました。1日中ご飯を作っている錯覚に陥ったり、トイレに逃げ込んで原稿を書いたり…。3人の記者が振り返りました。

加藤健太 社会部で東京都内のニュースを取材している。3歳の長男はこの春、幼稚園に入園、日々頼もしさを増す後ろ姿に励まされている。テレワークで運動不足になり、最近、椎間板ヘルニアを発症。

 

中村真暁 社会部、9歳、5歳男児の親。東京都内の行政や街ダネを担当するほか、貧困問題などを取材。最近のマイブームは、育てているカブトムシを子どもたちと観察すること。

 

奥野  斐 社会部、小学生と中学生の子の親。LGBTQやジェンダー、保育問題などを取材。子どもたちが大人になるころにはもっと多様性を認める社会になってほしいと願い、子育て中。

得体の知れない怖さ YouTube見せてばかりの悩める日々

加藤 この1年間の子育てを振り返ってどうですか。

 

中村 しんどかった…な。小学校が一斉休校になり、近所の図書館も休館。旅行はもちろん、遠出もできない。「今日もまた家の中で過ごさなくちゃいけないね」って。とは言いつつ、アパートの床をドンドンされるのも気がかりで。

 

加藤 ちょうど1年前は初めての緊急事態宣言中で、自粛の真っただ中でしたよね。

 

中村 うちの子はスイミングを習っていたけど、感染が心配だからお休みするようになり、結局やめました。学習の選択肢を狭めてしまったと罪悪感や後ろめたさがありました。子どもが極端な怖がり方をした時もあった。誰とも会わない道を歩く時もマスクをしないと不安になっちゃうとか。

 

加藤 コロナに対して得体の知れない怖さがありましたよね。

 

中村 公園の遊具がテープでぐるぐる巻きにされて、遊ぶ場所が減っていくのもつらかった。だからってYouTubeばかり見せるのも悩ましくて。

 

加藤 国立成育医療研究センター(東京)のアンケートでも、コロナ禍でテレビやスマホの時間が増えた子どもたちが軒並み増加したと。

 

中村 YouTubeを見せていると、次々と候補として上がってくる動画の中には暴力的なシーンを扱うものもあって、時々ドキッとする。でも「見ちゃダメ」と言うにしても、どうしてダメなのか、ちゃんと説明できているか悩みましたね。

自殺が過去最多 届かない支援 家庭に居場所がない子も 

加藤 コロナ禍で子どもの自殺は過去最多に。子どもたちへの影響を心配しています。

 

奥野 取材した子ども食堂の中には、密になるからとテイクアウトに切り替えたところもありました。ただ、それだと子ども食堂にいる時間は短くなってしまいますよね。運営する人は「親子とのつながりが弱くなってしまう」と心配していました。コロナで経済的に困窮した家庭が支援の場所にもつながれなくなるのでは、と気になっています。

 

中村 家庭が安全な場所でない子どももいると思います。

 

奥野 思春期に同性が好きとか、トランスジェンダーだと気づいた子たちの中には家庭が安心できないという子もいる。そういう子たちは在宅を強いられてストレスを感じていないかな。

 

中村 地域の行事や集まりがなくなって、「あのお母さん大丈夫かな?」とか、お裾分けしたりとか、そういう関係性が築きにくくなっていますよね。

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行事は中止 学校、地域で対応に差も…工夫して「特別感」

加藤 学校ではどんな影響がありましたか。

 

奥野 小6だった上の子は修学旅行がなくなりました。代わりに日帰りで遊園地に行ったけど、それはそれで特別感があって楽しかったみたい。

 

中村 限られた中で楽しみを見つける工夫はいろいろなされていますね。

 

奥野 そうそう、合奏も打楽器とかアコーディオンにしてやってくれた。

 

中村 行事をやるかどうか学校や地域によって選択が分かれましたよね。

 

加藤 取材したある公立小学校では、「子どもたちに特別な思いをさせてあげたい」とPTAが主体になってオンライン修学旅行を企画していましたよ。

記者もテレワーク 子どもから逃げ回り、トイレで執筆…

加藤 テレワークが広まったのは、良い面もあったと感じています。パルシステム(東京)の調査では「夕食にそろう人数や食事の時の会話が増えた」と。僕自身もそうでした。

 

奥野 私はひたすらご飯をつくっていた記憶が…。片付けたらまたご飯の準備。

 

加藤 2人ともどうやって仕事をやりくりしていた?

 

中村 子どもを公園で遊ばせつつ、ベンチで電話取材して原稿を書いていました。

 

奥野 わかる!

 

中村 心情的にきつかったなあ。

 

奥野 仕事の電話がきた時に限って、子どもは「ねぇねぇ、あれ食べていい?」とか不要不急なことを聞いてくる。狭い家を逃げ回って、廊下をうろうろしながら電話取材したり、お風呂場で仕事をしたり。電話の音が明らかに響いていたから相手にも伝わっていただろうな…。

 

加藤 僕も、どうしても締め切りが迫っている時はトイレに閉じこもって原稿を書いていました。3歳の子どもは「まだウンチしてるのー?」って。どう説明したら伝わるか苦労しましたね。

 

奥野 仕事だと分かっても、家にいたら「遊んで」となっちゃうしね。

 

加藤 いつも家にいない人がいると余計にうれしいのかな。「長い針が12になったら遊ぼうね」と繰り返し伝えるようにしていました。

孤立する親子が心配 今後も意識して取材していきます

奥野 この状況はまだ続きそうですよね。

 

加藤 終わりが見えない中で、まだまだ工夫しながらやっていかなきゃなって。

 

中村 私は孤立する親子やお母さんが出てこないか心配です。

 

奥野 自殺者が増えている背景には予備軍もいるでしょう。テレワークがしたくてもできない人もいる。そのあたりを意識して取材していきたいですね。

 

※記者座談会の様子は音声番組「新聞記者ラジオ」でもお聞きになれます。

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